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【第2編 不動産管理・登記の問題解決】 - 第3章 不動産の賃貸借 -

税金以下の地代支払い継続の効果

弁護士 近藤 義徳
1997年4月:掲載(校正・筒井剛2001年2月)

地代の改訂についての判決が決着するまでは借地に課せられた税金以下らしい現行賃料を支払っていれば大丈夫ですか?

 XはYから土地を借りてその上に家を建てて住んでいました。地価はずいぶん高くなったようですが、地代は10年前から変わっていません。ところが、Yが代替わりして、XはYの相続人から地代の値上げを要求されました。Yの息子の話では、Yが払っている固定資産税よりも地代が安いので値上げさせてほしいということでした。Xは金額に不満なので、裁判所できめてもらおうと思っていますが、それが決まるまでの間、Yには、「相当と認める地代」を払っていればよいと聞きましたので、いま払っている地代を払い続けてもよいでしょうか。

著しく低廉な地代を払っていると、賃貸借契約を解除されることがあります。

1.「相当と認むる地代」
 設問[2-3-4]で述べたとおり、借地契約をしたときと事情が変化して、地代の額が不相当となった場合には、地主から地代の増額を、借地権者から地代の減額を請求でき(借地借家法11条1項)、その請求があると、相手方が承諾しなくても、請求の時から将来に向かって相当な地代の額に改訂されます。相当な地代の額は、最終的には裁判所が判断することとなりますが、増減額請求から裁判所の判断が確定するまでの間、借地権者は「相当と認むる地代」を支払えばよいとされています(借地借家法11条2項)。
 したがって、借地権者が自ら「相当と認むる」地代の支払いを継続していれば、特段の事情がない限り、履行遅滞とはならず、契約を解除されることもありません。
2.原状回復義務と敷金返還請求権
 ところで、敷金は、賃貸借終了後家屋明渡義務履行までに生ずる賃貸人が賃借人に対して取得する一切の債権を担保するものですから(最判昭和48.2.2民集27-1-80)、賃借人が原状回復義務を履行しないまま退去したときは、賃貸人は原状回復費用を敷金から控除して残額を返還すればよいこととされています。
3.著しく低廉な地代支払いの効果
 しかし、著しく相当性を欠く低額の賃料を支払い続けた場合には解除が認められることがあることに注意しなければなりません。
 判例も、「いくら原則として借地権者が「相当と認める地代」でよいといっても、その額がいくらでもよい、というわけではなく、その額が特段の事情もないのに従前の地代額よりも低い額であったり、適正地代との差があまりにも多いとき等には、債務の本旨に従った履行という評価をする事ができず、背信行為ありとして契約解除の効力を認めるべき場合もあり得るものと言わなければならない。」とし、借地権者が、統制地代月額の4分の1の額の地代を15年間にわたって供託していた事案について、地主の契約解除を認めています( 千葉地判昭61.10.27判時1228-120)。

(C)2002 Makoto Iwade,Japan

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