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【第2編 不動産管理・登記の問題解決】 - 第6章 不動産登記手続き -

仮登記の効用

弁護士 中村 博(ロア・ユナイテッド法律事務所)
1997年4月:掲載

土地の購入予定先が今一つ信用できません。紛争を未然に防ぐために何とか法的手段を取りたいのですが、何かいい方法はありませんか。

 甲社は、事業用財産として土地を乙社から1年後くらいに購入する予定でその計画を乙社も了承しています。しかし、甲社としては、これまでの乙社態度から考えて、その前に乙社が第三者により高い値段で売却するのではないかとても心配です。このような場合に事前に何らかの法的手段が取れませんか。

とりあえず、後日の紛争に備えて売買手続を原因として仮登記手続を行うべきでしょう。

1.仮登記制度とは?
 設問[2-4-1]で解説いたしましたが、登記は、法律に特別の定めのない限り、登記をした前後によって優先順位が決定されるため、早く登記をした方が有利になってくるのです。ところが、少々の要件が欠けたために登記が全くできないとするとその人に対して不利益を及ぼすことも考えられるため、法は、「仮登記」なる制度を定めております(不登法105条)。
 つまり、仮登記とは、後日行われる本登記のために順位の保全を目的とする予備登記のことで、それ自体には登記本来の第三者に対する対抗力はありませんが、順位保全の効力を有しています。仮登記をすることによって、後日あらためて本登記をした場合に、その本登記は仮登記をした日に遡ってその時に本登記をしたと同じような効果が発生することとなります。具体的には、仮登記後本登記までの間に第三者によってなされた処分(例えば、抵当権設定登記等)に妨害されず、本登記の順位を決する時点は、仮登記をした時点に遡るという効力をもちます(同法106条)。仮登記の上の権利は、それ自体財産であり、仮登記が後日において本登記されるか、仮登記上の権利が消滅して抹消されるまでは、譲渡等により処分することが出来るのです。
2.仮登記が出来る場合とは?
 仮登記は、本登記が出来るすべての権利(同法1条各号)について、次の場合に認められます。
①登記の申請に必要な手続上の条件(情報)が具備しない時(同法105条1号)
  例えば、設問[2-6-3]で解説したように、登記申請に第三者の同意書や許可書が必要なのに、それが間に合わない場合等が挙げられます。

②登記すべき不動産の権利の設定、移転、変更、または消滅の請求権を保全しようとする時(同条2号)。

③2の場合の請求権が、始期付または停止条件付のもの、その他将来確定することが見込まれるものである時(同号)
3.「仮登記担保権」について
 所有権移転に関する仮登記は、将来その目的とする不動産の所有権を取得するために、この所有権所得の順位保全の目的で設定されています。しかし、実務では、本来の目的たる不動産の所得ではなく債権保全のために仮登記が利用されております。これを「仮登記担保権」といいます。
 仮登記担保権は、その不動産の金銭的価値に着目してその金銭的価値の実現によりこの不動産から優先的に弁済を受ける手段として、あくまで仮登記制度を利用するものです。目的不動産の所有権を競売手続を経ずに取得でき、金利以上のものを取得できる債権者の有利性及び印紙代節約のメリットがあり、非常によく利用されています。そこで、昭和53年には、基本法として「仮登記担保契約に関する法律」が制定されています。
 仮登記担保権は、当事者の合意によって設定され、登記簿上は単に仮登記の表示しかされないので、その仮登記が通常の仮登記か担保仮登記かを判断せざるを得ませんが、通常は、代物弁済予約または停止条件付代物弁済の仮登記は担保権を目的とする仮登記担保権です。売買予約の場合には、その実質で判断するしかないでしょう。
対応策
 設問の場合、甲社は、担保目的ではないようですので、本来の不動産登記法が定める仮登記制度の趣旨に従って、購入予定の土地を乙社が第三者に譲渡しても所有権をめぐる権利関係で乙社に対抗できるように、是非、所有権移転の仮登記手続をとるべきで、登記原因は、売買予約とするのが無難でしょう。
 なお、仮登記申請の際には、登記済証・登記権利者の住所証明書・第三者の許可、同意、承諾書の添付は必要ありませんので注意すべきです。

(C)2002 Makoto Iwade,Japan

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