法律Q&A

分類:

取引開始時のチェックポイント

(1)事前調査の必要性
 先ず、倒産対策の基本は取引の最初の段階から始まります。取引を開始するにあたっては、取引先の相手方自体とその資産状態について十分調査をする必要があります。信用がない相手との取引については、回収不能のリスクを踏まえたハイリターンを狙うか、取引を断念するか、追って解説していく担保等の設定や、厳格な契約書の締結によりリスクを軽減する方法を探るなどの選択を迫られます。
(2)調査方法
 調査方法としては、[1]会社登記簿等のチェックによる取引先自体の調査と(これにより取引先の本店所在地が違っていたり、法人では登記されていなかったり、代表者が違っていたりといったことが直ぐに分かります)、[2]不動産登記簿等のチェックによる資産の調査(不動産については、先ず、住所や営業所所在地の住所で探ってみることで、ここで財産が出てこなかったら、要注意です)が最低限必要です。これを取引開始前・後と定期的に行ないます。とりわけ、次の (3)の兆候が見えてからは直ちに行なう必要があります。以上の調査は、誰でも、所定の費用さえ支払えば、共に法務局で簡単に行なえます。最近では、一部の地域に未だ限られていますが、インターネットでも閲覧ができるようになっています。なお調査に当たっては、営業マンは自分の成績に関係するため、自分の取引先を悪く言わない傾向があるため、随時、管理職・経営者自身による取引先の巡回の必要を指摘しておきます。勿論、費用対効果の関係で余裕があれば、興信所の利用もあり得ます。なお、メイン・バンクへの照会もあり得ますが、最近は、プライバシーや守秘義務の関係で、回答が得られない場合が増えています。
(3)危険な兆候
 (2)の調査の上取引を始めた相手方に次のような兆候が現れたら要注意です。この場合には、今後説明する債権回収の様々な方法の着手を検討しなければなりません。例えば、[1]企業全体の活気の喪失(企業は生きもので、なんとなく活気のないことは危険信号)[2]経営者の不在(経営者が、遊興に耽ったり、資金繰りに追われている危険信号)[3]不動産への街金融等の担保の設定や処分(かなり高度な危険な兆候)[4]仕入れの不自然な急増(取り込み詐欺の危険)[5]幹部職員の移動の激化(貴企業内の事情に通じている幹部の企業からの逃亡の場合と、街金融等の債権者の支配下にある場合など)[6]急な支払条件の変更や手形書換、支払猶予の申し出(資金繰りの悪化の危険信号)[7]悪い噂やデマの発生(いわゆる風評被害によるダメージも無視できませんし、実際に噂通りの経営の悪化もあり得ます)[8]主な取引先の倒産(連鎖倒産の危険があります)などです。

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