法律Q&A

分類:

内定とはどういうことか?(P1-3)

(1)就職協定廃止の影響など
 いわゆる就職協定が平成9年度から廃止され、会社説明会などの採用活動の前倒しは相当に進み、ますます「内定」(会社によっては内々定)時と実際の入社時の間隔が開いています。
(2)内定とは
 この入社時までの「内定」という身分は、法的にはどんな状態なのでしょうか。そもそも、内定自体に関する法律の定めはありません。その法律関係は、判例によって処理されています。そこで、典型的な新卒予定者採用の場合の順序に従って内定を説明してみます。

 多くの場合、求職者A(学生等)が会社の募集に応じ、この応募に対して、会社が一定の採用試験・面接などを経て、会社から、選抜された求職者に対して採用内定の通知がAのところに届いた時点で、会社とAとの間に「一定の条件付き」の労働契約が成立し、この状態が内定と言われています。そして、この「一定の条件付き」の内容は、「就労または労働契約の効力の発生始期付きで解約権留保付き」のことであるとされています(大日本印刷事件・最二小判昭 54.7.20民集33.5.582、電電公社近畿電通局事件・最二小判昭55.5.30判時968-114)。

 新卒予定者の場合、大学や高校を卒業して働き始める時期4月1日を「就労または労働契約の効力の発生の始期」として、それ迄に、卒業できなかった場合、内定時に約束された合理的内容と期間の研修に参加しなかった場合や、病気、怪我などにより正常な勤務ができなくなった場合に「解約できることを条件としている」労働契約が成立したものとする考えです。

 内定の場合にも、本来は、会社には、労働条件明示義務があると解され(労基法15条)、Aは、前述の内定中の様々な研修義務・解約条件などを明示してもらえる筈なのですが、実際の運用には問題があるので要注意です。

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