法律Q&A

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生理休暇・産前産後休暇とは?(P9-3)

(1)生理日の就業が著しく困難な場合の休暇
 労基法は、従前使用していた「生理休暇」という用語を廃して、「生理日の就業が著しく困難な女性に対する措置」として、「生理日の就業が著しく困難な女性」が休暇請求した場合の就労免除を認めています(同68条)。これは、生理休暇の用語が、まるで「生理になれば休暇が取れる」ような誤解を招き易いため、明確に、この制度が「就業が著しく困難」な場合の就労免除、つまり一種の病気休暇として認められていることを明確にしたものです。なお、労基法上は、生理休暇の不就労時間に対応する賃金の請求権はありません。
(2)産前・産後休業(産休)
 平成9年改正労基法は、残業・深夜労働への女性保護規定を原則廃止する一方で(P9-4参照)、従前からの産後8週間は変えませんでしたが(但し、産後6週間を経過した女性が請求した場合において、その者について医師が支障がないと認めた業務に就かせることは、差し支えないとされています)、母性保護の強化を進め、産前多胎児についての産前休業を14週に延長しました(同65条1項、2項)。なお、労基法上、産休分への賃金請求権はありません。但し、この休業期間については、健康保険法上の出産手当金(標準報酬日額の60%)が支給されます。更に企業によっては、出産手当金の支給停止を受けないように配慮し、一時金としての出産祝金などを支払う方法が取られていることもあります。
(3)産休等の取得と賞与等
 産休や生理時の休暇(産休等)を取得したことのみの理由で、一律に賞与の全額不支給や一律昇給停止等をなすことは違法とされます(日本シェーリング事件・最判平成元.12.14民集43.12.1895)。しかし、あくまで、産休等の結果の能力の低下を理由とする場合や、取得された産休等の日数に客観的に按分対応した限りでの減額等の不利益は違法とされないと解されます。

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