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介護保険制度スタートはするものの-これだけある問題点・注意点-

弁護士 岩出 誠(ロア・ユナイテッド法律事務所)
2000.02.02

介護保険については、毎日、マスコミをにぎわし、65歳以上(第1号被保険者)の保険料負担の半年猶予・その後1年の軽減や、ホームヘルパーなどの家事援助対象基準、介護報酬、保険がカバーする利用限度額などの問題も一応決着し、いよいよ介護保険制度が今年4月1日からスタートしました。しかし、その実際の施行に当たっては、当初から心配されてきた要介護認定、保険料徴収などの問題を始めとして、最近指摘され出した、その認定に基づくヘルパーの選択をめぐる問題などまで、難問が山積しています。そこで、介護保険について、一般の方々に直ぐ影響してくるため押さえておく必要がある問題点に絞ってそのポ
イントを説明しておきます。

 

先ず、当初から言われていながら解決されていない問題点。
(1)介護保険の運営主体は、市町村・特別区であるため、保険料(一部の自治体では40歳以上65歳未満の人・第2号被保険者の内、国保加入者についても保険料の軽減策を導入しています)、介護サービスのいずれについても、地域格差が生じ、より良い介護を求めて「介護移住」さえ始まっています。自分の生活する地域の介護保険の内容を押さえておく必要があります。

(2)介護を受ける必要の有無とその程度(七段階)を確認する要介護認定についても、昨年10月から認定作業が始まっていますが、既にトラブルが起こっています。例えばコンピュータによる一次認定が痴ほうの評価に厳し過ぎるなどで、市町村の介護認定審査会の二次判定で約20%も変更となることも、認定の信頼性に疑いを持たせ、今後、不服審査や裁判が頻発することが予想されます。先ずは、2次判定に不満な方は、決定の通知を受けとってから60日以内に前記審査会に不服審査請求をすることを忘れないこと。

(3)介護保険料は、前述の猶予・軽減は別として、第1号被保険者と第2号被保険者に分かれ、所得に応じて決まり徴収されます。しかし、保険料滞納がある場合、介護サービスの打切り・変更などの措置が取られますので、納付をお忘れなく。特に保険料を天引き徴収されない国保加入者は要注意。

新しい問題としては、
(1)前述の家事援助基準について、原則は、一人暮らしか家族が障害や病気などで家事を行なうことが困難な場合に限るとされましたが、地域によってはこの基準に拘らず援助を行なう所も少なくない点に注意して下さい。現実の問題としては、他にも、

(2)いかに良いホムヘルパーや介護施設を見つけるか、

(3)誰と、どのように、どんな介護サービス計画を作るのか

などの問題も無視できません。

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