法律Q&A

分類:

任意整理について

弁護士 小林 昌弘(ロア・ユナイテッド法律事務所)
任意整理とは
 任意整理とは、一般に、裁判所による法的整理手続(破産、特別清算、会社更生、会社整理、民事再生)を利用しないで行う債務整理の方法を言い、内整理ないし私的整理という言葉もほぼ同意義で使われます。要するに、債権者と債務者との「話合い」による解決を図るものです。
任意整理の手順
 一般に、(1)取引先の代理人弁護士から通知が届き、(2)こちらから債権の発生年月日・原因・残額などを届け出ると、(3)取引先から弁済計画案に対する同意を求められ、(4)同意をした債権者に対し弁済計画案に沿った弁済が開始される(同意しない債権者に対しては、弁済をしないケースや、弁済計画案に沿った弁済を一方的に開始してくるケース、同意者の少ない場合は弁済計画案を変更したり任意整理を断念するケースなどもあります)という手順をたどります。取引先の現状や弁済計画案についての説明は、随時、文書または口頭で行われますが、債権者集会が開かれる場合もあります。
任意整理中の債権回収方法
 弁済計画案に同意してその案に沿った弁済を受ける方法と、同意をしないでこちらから独自に債権回収の方法( 任意的債権回収方法その1その2仮差押・仮処分強制執行 の項参照)を取る場合とがあります。
債権者側から見た任意整理のメリット・デメリット
 法的整理の場合に裁判所に納める費用を弁済原資にまわしてもらえる可能性があること、各債権者の事情に応じて柔軟な対応をしてもらえる可能性があることがメリットである反面、債権者間に不公平が生じる恐れがあることがデメリットと言えるでしょう。
任意整理に応じるかどうかの選択
 法的整理手続きになった場合と比べて、弁済を受けられる額、弁済方法などにどのような差が出るかを検討することになります( 仮差押・仮処分強制執行 の項参照)。

一般的に言うと、担保(貸倒れ予防策の項参照)による回収が可能であれば、同意せずに担保を実行して回収すればよいでしょう。逆に、無担保の場合、または、担保があっても価値が低かったり先順位者がいるとか、保証人が無資力だったりするなど、担保による回収が見込めない場合には、同意をした方がよいでしょう。ただし、抜け駆け的に弁済を受けたりすると詐害行為として取り消されることがある(民法424条)ので注意が必要です。

時効の中断
 送られてきた整理案に同意しない場合でも、他の債権者の多数決で自分の債権が自動的にカットされてしまうようなことはありませんが、何もしないで放っておくと時効にかかってしまうので、請求書の送付などの時効中断手続は欠かさないで下さい( 任意的債権回収方法その1 参照)。

関連タグ

身近にあるさまざまな問題を法令と判例・裁判例に基づいてをQ&A形式でわかりやすく配信!

キーワードで探す
クイック検索
カテゴリーで探す
新規ご相談予約専用ダイヤル
0120-68-3118
ご相談予約 オンラインご相談予約 メルマガ登録はこちら