法律Q&A

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民事再生について

弁護士 岩出 誠(ロア・ユナイテッド法律事務所)
民事再生手続の特徴
 民事再生手続は、従来の和議手続に代わる手続であり、原則として、現経営陣が退陣せずにそのまま経営に当たれることから、主として中小企業を対象とした再建型の手続といえます。なお、東京地裁の場合には、申立から再生計画認可まで約6ヶ月で終わるような運用がなされています。
債権者としてなすべきこと
 取引先が民事再生の申立をした場合に債権者として考えなければならないことは、第1に、今後も取引先と取引を継続するかどうかを判断することです。この判断に際しては、取引先の財産状況、今後の再生の可能性、債権者の売上に占める取引先の割合等が考慮されることになります。もとより、原則として共益債権(再生手続開始後の原因に基づいて発生した再生手続の維持等に必要な費用等の請求権)は、再生手続によらずに再生債権に先立って随時弁済を受けることができます。

 第2に、抵当権、特別の先取特権等の別除権を有している債権者は、基本的には破産の場合と同様に考えられます。例えば、抵当権であれば競売の申立を、動産売買の先取特権ならば売り渡した物の差押、競売をすることにより債権の回収を図ることができます。但し、債権者全体の利益に合致し、担保権者に損害を与えるおそれがないときは、裁判所は期間を限定して競売の中止命令が出せますし(31条)、裁判所の許可の下、担保権者に担保財産の現在の実勢価格を一括弁済することで、全ての担保を消滅させることもできることに注意が必要です(148条以下)。他方、別除権の行使によっても弁済を受けられない債権部分(不足額)については、後述の再生債権として取り扱われるので、裁判所にその不足額等を届け出なければ、原則として弁済を受けることができなくなります。

 第3に、一般優先債権(再生手続開始前の原因に基づいて発生した債権で、一般の先取特権その他一般優先権がある債権)を有する債権者は、再生手続によらずに随時弁済を受けることができます(122条2項)。

 第4に、再生債権(再生手続開始前の原因に基づいて生じた財産上の請求権)を有する債権者は、原則として裁判所に再生債権の額等を届け出ることにより、再生手続により弁済を受けることになります(85条1項)。従って、再生債権者とすれば、届出期間内に債権届を提出するように努めなければなりません。そして、再生債権者が届出をなした再生債権が確定した場合には、それに確定判決と同一の効力が与えられています(104条3項)。但し、[1]再生債権者が再生債務者を主要な取引先とする中小企業者である場合には、この再生債権の弁済を受けなければ事業の継続に著しい支障をきたすおそれがある場合には、裁判所の許可を条件に再生手続によらずに弁済を受けることができます(同法85条2項)。また[2]少額の再生債権者は、裁判所の許可を条件に再生手続によらずに弁済を受けることができます(同法85条5項)。また、民事再生の申立をした会社に対して債務を負担している場合には、相殺によって回収を図ることが出来ます。但し、注意を要するのは、破産の場合とは異なり債権届出期間満了前までに相殺の意思表示が取引先に到達することが要求されていることです(92条1項)。

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