法律Q&A

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ゴルフ接待中の災害はどう扱われるのか?(P6-4)

(1)一般的には業務外
 接待業務について、従前、行政解釈は、「単なる懇親を主とする宴会は、その席において何らかの業務の話題があり、また業務の円滑な運用に寄与するものがあったとしてもその席に出席することは、特命によって宴会の準備等を命じられたもの、又は、出席者の送迎に当たる自動車運転者等のほかは原則としてこれを業務とみることはできない」(昭45.6.10裁決等)とし、ゴルフ接待について、裁判所も、次のように同様の判断を示し、ゴルフ・コンペへの「出席が業務の遂行と認められる場合もあることを否定できないが、しかしそのためには、右出席が、単に事業主の通常の命令によってなされ、あるいは出席費用が、事業主より、出張費用として支払われる等の事情があるのみでは足りず、右出席が、事業運営上緊要なものと認められ、かつ事業主の積極的特命によってなされたと認められるものでなければならない」、としていました(高崎労基署事件・前橋地判昭和50・6・24労判230-26)。
(2)最近の裁決での緩和の胎動
 しかし、近時の裁決例では(東京労働基準局・労災保険審査官平9.3.1)、営業担当の社員が顧客との商談を兼ねたゴルフ・コンペに参加するためゴルフ場に向かう途中に交通事故で死亡した事案で、「ゴルフコンペは仕事の一環」とみなし得るとして、労基署の業務外との判断が覆されました。この裁決も上記の先例の延長戦上にあるとは言え、若干の認定の緩和が読み取れます。しかし、現在でも、基本的には、ゴルフ・コンペ参加に際しての災害が業務上となるのは、本人がプレーをしない会社の担当者として準備接待、送迎等に当たる係員は別として、本人自身もプレーする場合は、そこで重要な取引の交渉が具体的に行われる場合とか、事業にとって具体的な課題と必要性がある場合など極めて例外的な場合に限られますが、業務上認定の可能性はあります。

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