法律Q&A

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定年退職とはどういうことか(P7-11)

(1)定年退職とは
 定年制又は定年退職に関しては様々な説明がなされていますが、ここでは、最高裁が、一般的な定年制の制度趣旨・内容、労使双方にとっての利害・得失を総合的に検討の上、その有効性を認めた有名な判決(秋北バス事件・最判昭43.12.25民集22-13-3459)を引用しておきます。同判決によれば、定年制は、「労働者が所定の年齢に達したことを理由として、自動的に、又は解雇の意思表示によつて、その地位(職)を失わせる制度で...、一般に、老年労働者にあつては当該業種又は職種に要求される労働の適格性が逓減するにかかわらず、給与が却つて逓増するところから、人事の刷新・経営の改善等、企業の組織および運営の適正化のために行なわれるものであつて、一般的にいつて、不合理な制度ということはでき」ない、とされています。
 上記の通り、同判決が、いわゆる年功的賃金制度を前提としているところから、最近の成果主義・能力主義的賃金制度が普及する中で、年齢による差別の妥当性の問題を含めて、最近では、改めて定年制の合理性が問われ始めています(菅野和夫「労働法」第5版補正2版427以下参照)。
(2)60歳定年法による規制
 しかし、現在のところは、高齢者雇用安定法4条は、定年を定める場合は、「60歳を下回ることができない」として、60歳定年制を義務化しています。但し、「当該事業主が雇用する労働者のうち、高年齢者が従事することが困難であると認められる業務として労働省令で定める業務に従事している労働者については」例外が認められています。しかし、実際に、現在のところ省令で例外として認められているのは、鉱業法4条に規定する事業(鉱物の試掘、採掘及びこれに附随する選鉱、精練その他の事業)における坑内作業の業務だけですので、ほとんどの事務所や工場の場合には、60歳定年制が強制されると考えた方が良い状況です。

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