法律Q&A

分類:

紹介予定派遣で派遣先の勝手な理由で就職できないときは?(P8-6)

(1)紹介予定派遣とは
 紹介予定派遣とは、「派遣就業終了後に派遣先に職業紹介することを予定してする労働者派遣」のことです(野川忍「JIL労働問題Q&A」10-7等参照)。
(2)紹介予定派遣への行政指導
 紹介派遣の実施に当たっては、厚生労働省により以下の指導がなされています。先ず、派遣就業終了時に改めて派遣元が派遣先及び派遣労働者の求人・求職の意思を確認して職業紹介が行われるものであり、その意思いかんによっては職業紹介がおこなわれないこともある制度であることを、派遣元には派遣先及び派遣労働者へ説明する義務があります。派遣就業終了後に派遣先が職業紹介を受けることを希望しないときは、派遣先は派遣元に対し、その理由を通知しなければなりません。更に、派遣先が派遣労働者を採用するに至らなかったにも拘らず、当該労働者を特定して労働者派遣を受けることを希望した場合、当該労働者を雇い入れるように努めることなどを指導するとされていす。
(3)派遣先の恣意的な採用拒否への対応
 派遣先の恣意的な採用拒否への対応については、先ず、(2)で指摘した、理由の開示や雇入れの行政指導を求めることができます。派遣元・先がこれらに協力してくれない場合には、派遣元・先両者の指導違反を監督官庁に申告し、是正を求めたり相談することができます(派遣法49条の3、52条)。次に、派遣先への採用自体を求めるのは、「採用の自由」との関係からその理由が不当労働行為に当たるような場合以外は困難でしょう(P1-2)。しかし、明示された採用条件が勝手に変更された場合や、性的要求拒否を理由とするセクハラ的な採用拒否の場合には、少なくとも損害賠償請求の可能性はあると解されます(労働条件明示義務違反と信義則違反を理由に慰藉料の支払を企業に命じた日新火災海上保険事件・東京高判平成12.4.19労判787-35 等参照)。

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