法律Q&A

分類:

国民の祝日に社員を休ませる必要はあるか

弁護士 結城 優(ロア・ユナイテッド法律事務所)
2016.02.08

国民の祝日に社員を休ませる必要はあるか

当社では,毎週土日を所定休日としていますが,「国民の祝日」は休みとしていません。
このほど,ある社員から「祝日法によれば,国民の祝日は『休日とする』旨定められている。法律でうたわれている以上,社員を休ませる義務があるのではないか」との指摘を受けました。
会社として休日とする必要はあるのでしょうか。(山口県 A社)

祝日法は、企業に対して労働者への休日付与義務を課すものではなく、労働基準法(以下、労基法という)上の法定休日とも関係がありません。
そのため、各企業の就業規則等で「国民の祝日」を休日として定めていない場合には、1週1日または4週4日の休日を与える限り、「国民の祝日」に休日を与えなくとも労基法違反にも労働契約法上の違反にもなりません。

1.労基法における休日付与義務
 労基法35条1項は、使用者に対して、毎週1日の休日を付与する義務を課しています。また、同条第2項によって、4週間を通じて4日の休日を与える変形週休制も認められ、変形週休制をとる場合には、就業規則において単位となる4週間の起算日を定める必要があります。
2.法定外休日
 実務上は、週40時間制との対応により、設問のような週休2日制をとっている企業が多いでしょう。この場合には、労基法による休日(法定休日)の他に、休日が加わることとなり、これを法定外休日と言います。法定外休日については、労基法36条の労使協定の締結など労基法上の休日規定の制限はありません。
 また、法定休日の労働には3割5分の割増賃金を支払う必要があるのに対し、法定外休日の労働にはその必要はなく、週の法定労働時間を超える場合に2割5分の割増賃金を支払えば足ります。逆に、両休日を区分せず、休日労働割増賃金規定にも区別がない場合には、両休日労働に対して同じ割増賃金を支払う義務を負うことになります。
 その観点からも、いずれが法定休日にあたるかを就業規則などにより明示することが望ましいとされていますが(平6.1.4基発1号)、実際上は両者を同様に取扱う場合も少なくありません。設問の場合では、毎週土日が所定休日となっていますが、もし日曜日を法定休日と規定すれば、他の休日は法定外休日ということになります。
3.国民の祝日と休日との関係
 国民の祝日に関する法律(以下、祝日法という)第3条1項は、「国民の祝日は休日」と定めていますが、これは労基法上の休日と、どのような関係になるのでしょうか。

 通達によると、祝日法は、国民の祝日に休ませることを強制的に義務づけするのでなく、労基法上の毎週1日又は4週4日の休日を与えている限り、国民の祝日に休ませなくても労基法違反とはならないとしています(昭41.7.14基発739号)。
 ただし、同通達は、国民の祝日の趣旨及び労働時間短縮の見地から、労使間の話合いによって、国民の祝日に労働者を休ませ、その場合に賃金の減収を生じないようにすることが望ましいことはいうまでもないとしています(前掲)。
 実務でも国民の祝・休日を休日とする場合が多くみられますが、これは各企業において就業規則等において国民の祝日を法定外休日として定めた労働契約法上の効力によるものであり、そのような定めがなければ、企業に労働者への祝日法に基づく休日付与義務はありません。したがって、労基法の世界では、あくまでも労基法上の休日付与義務に沿って休日を与えている限りは、労基法違反とはなりません。また、設問の場合は、週休2日制をとることにより、労働時間短縮を図っていることから、あえて国民の祝日を休日にする必要はないと考えられます。
 ただし、多くの大企業では、祝日法の定める通りではなくても、国民の祝日数の法定外休日を与えていますので、実際には、企業体力を考えながらも、良き人材を取るための求人対策としては、同様の休日付与の努力が必要でしょう。

関連タグ

身近にあるさまざまな問題を法令と判例・裁判例に基づいてをQ&A形式でわかりやすく配信!

キーワードで探す
クイック検索
カテゴリーで探す
新規ご相談予約専用ダイヤル
0120-68-3118
ご相談予約 メルマガ登録はこちら