メルマガ「人事労務の勘所」

2016.09.09

第35回 震災を理由として内定取消は可能か?

いつもお世話になっております。
ロア・ユナイテッド法律事務所でございます。

今月も人事労務の勘所を配信いたします。
皆様のビジネスシーンや生活の中で、少しでもお役立ていただければ幸いです。

※このメールは以前に、当事務所にお越しいただいた方、
名刺を交換させていただいた方、当事務所のHPより
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『今月の人事労務の勘所』
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【 Q 】
震災を理由として内定取消は可能か?
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【 状況 】
震災によって会社が被災したため、事業を縮小せざるを得ず、
人員削減が必要な状態となりました。そのため、一部の内定者に対し
内定取消をしようと考えていますが、可能でしょうか。
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【 A 】
内定も、始期付き解約権留保付き労働契約が成立しているとされ、
内定取消は、解雇と同様の規制を受けます。
したがって、上記事情における内定取消は、整理解雇制限法理の適用により
その可否が判断されます。
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【 解説 】
採用内定時の使用者と内定者の関係は、「始期付き解約権留保付きの労働契約」
が成立していると解されています。

この「始期付き」とは、働き始める日に関する条件が付されているという意味です。

また、「解約権留保付き」とは、採用内定通知書等に記載されている
取消事由が生じた場合、使用者は内定取消をできる旨が合意されている、
という意味です。

ただ、使用者は自由に内定取消が出来るわけではありません。
内定取消は、解雇に準じるものとして、客観的合理的理由が存在し、
社会通念上相当なものに限り可能です。

被災が内定取消の客観的合理的理由となるかについては、整理解雇、
すなわち経営難による人員削減のための解雇の要件・要素に照らして
検討することになります。

整理解雇が有効になるためには、
1、人員削減の必要性
2、解雇回避努力義務
3、選定者の妥当性
4、手続きの相当性
の4点を満たすことが必要です。

本件においては、1、人員削減の必要性は、被災による事業縮小という事情から
認められるでしょう。

次に2、解雇回避努力義務については、例えば、内定者に対し、
子会社や関連会社への出向を打診すること等、他の手段を講じたという
事情があれば認められます。
3、選定者の妥当性については、公平な基準によるべきということであり、
例えば性別を理由とすることは違法です。

4、手続きの相当性については、内定取消の必要性について
説明をしたか等から判断されます。
(文責:弁護士 鈴木 みなみ)

~ 次回、平成28年10月配信予告 ~
【 Q 】
社員がポケモンGOなどの位置情報連携ゲームを使用することを制限できるか?

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~ 執筆者コラム ~
引越しのために物の整理をしているのですが、
懐かしい写真や思い出の品が出てきてそのたびに手が止まり、ちっとも進みません。
また、いつも捨てるのに困るのが頂いた年賀状や手紙など。

皆さんはどれくらい保存されるのでしょうか。

手持ちのものはなるべく少なくシンプルに暮らしたい、
今流行りのミニマリズムを実践したいと思いながらも、
やはり捨てるに忍びなく、今回も綺麗なお菓子の箱にそっと仕舞いました。

弁護士 鈴木みなみのプロフィールはこちら
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