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2023.05.10

弁護士岩出誠の論文「メリット制適用事業主による労働保険料認定不服申立てをめぐる社労士業務への影響」が開業社会保険労務士専門誌SR第70号No.32 2023Jun、88頁(日本法令)に掲載されました。

労災が起きた事業場で労災保険料が引き上げられる制度であるメリット制をめぐり,このメリット制が適用される事業主(以下、「特定事業主」という)が、労災認定は違法だと主張して保険料の引上げの取消しを求めることができるか否かをめぐり、行政解釈、裁判例においても、大きな混乱がありました。そこで厚生労働省は、令和4年10月26日、「労働保険徴収法第12条第3項の適用事業主の不服の取扱いに関する検討会」(以下、「検討会」という)を立ち上げました。

その目的・趣旨については、「行政法学者、労働法学者及び労災保険制度の実務家が参集して、労災保険給付を生活の基盤とする被災労働者及びその遺族(以下「被災労働者等」という。)の法的地位の安定性についての十分な配慮を前提として、特定事業主が自己になされた労働保険料認定決定(以下「保険料認定処分」という。)に不服を持つ場合の対応を検討すること」とされていました。

そして、労災保険給付の認定の複雑化が進んでいること、さらには後述の下級審裁判例が登場していることなどに鑑みて、「被災労働者等の法的地位の安定性は堅持しつつ、メリット制を介して労災保険給付分に係る労働保険料の増大という不利益を受ける可能性がある事業主の手続的保障を図る観点から、こうした事業主が、保険料認定処分の不服申立て及び取消訴訟(以下 「不服申立等」という。)において、労災支給処分が労災保険法に従った認定ではなかったこと(以下「労災支給処分の支給要件非該当性」という。)を主張することを認める余地がないかを検討し、報告書をまとめることとしたものである。」とし、検討会は、2回の会議を経て、同年12月13日、検討会報告書(以下、「報告書」という)を公表しました。

報告書の結論は、特定事業主が労働保険料認定決定に不服を持つ場合、労災保険給付の支給要件非該当性に関する主張を認め、非該当性が認められた場合、保険料の引き上げは取り消されるが、労災保険給付の支給には影響させない。つまり、特定事業主の経済的負担となる保険料引き上げに絞って不服を認めることで、労災認定そのものの取り消しを求める訴訟などが起きるのを防ぐ狙いが込められています。

これを受け、厚生労働省は、令和5年1月31日、同報告の結論を内容とする通達(令和5年1月31日付け基発0131号第2号「メリット制の対象となる特定事業主の労働保険料に関する訴訟における今後の対応について」。以下、「本件通達」という)を発出しました。なお、筆者の労働基準局 労災管理課労災管理課からの聞き取りによれば、本件通達は、内部通達として運用され、外部に公表する予定はない旨の回答を得ています。 

以下、本件通達の内容を紹介し、同通達発出に至る経緯・裁判例の動向等を紹介しつつ、社労士が押さえておきたいポイントを解説し、本改正で社労士業務にどのような影響が生じ得るか、社労士が顧問先等から相談を受けた場合に、どのように対応すべきかなどを解説します。

SR第70号 No.32 2023 Jun(日本法令)はこちらをご確認ください

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