法律Q&A

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セクハラへの会社の責任と制裁

弁護士 岩出 誠 2000年10月:掲載
特定社会保険労務士 提携社労士 鳥井 玲子 2009年 4月:補正
弁護士 鈴木みなみ 2017年 1月:補正

上司との不倫関係のこじれによるセクハラの場合の上司と被害女性への対応はどうなるのか?

A社の女子従業員Bが、社長に職場の変更を求めてきました。Bの話では、Bは、妻子ある上司の部長Cと深い関係になっていたが、関係を清算し、社外の男性Dと付き合うようになったところ、Cは、A社の従業員や社外の関係者に対して「Bは遊んでいる。」「取引先のEと怪しい」などと噂を流したりBに対して「無能だ」「遊び好きのくせに」などと言って、嫌がらせをした挙句、転職を迫るようになったそうです。社長はこんな事情はBからの話で初めて知りました。A社は、B、Cに対してどう対処すべきでしょうか。

早急に事実関係を調査した上で、必要に応じ、適正な処分や人事異動などにより、職場環境の調整に努力する必要があります。

1.無視できない企業リスクとしてのセクハラ問題
 職場におけるセクシュアル・ハラスメント(以下、「セクハラ」といいます。)問題は、現在、人事担当の現場では、相当深刻な問題になっています。
 職場でのセクハラは、労働者の個人としての尊厳を不当に傷つける社会的に許されない行為であるうえ、セクハラ対策は、男女雇用機会均等法(以下「均等法」と言います。)の平成19年改正により対策を講じることが義務となりました(均等法11条)。
 行政的にも、厚生労働省の「事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置についての指針」(平成18年厚生労働省告示第615号。最終改正平成28.6.14。以下「セクハラ指針」といいます。)に基づく雇用均等室による企業への指導が強化されています。当該指針によると、対策を講ずべきセクハラの具体的内容として、男性が対象になるのはもちろんのこと、同性に対するセクハラも含まれることが明記されています。平成28年に指針が改正され、被害者の性的指向又は性自認(いわゆるLGBT)にかかわらずセクハラが成立することも明記されました。
 また、職場の概念は「取引先と打合せをするための飲食店、顧客の自宅等」にまで拡大され、労働者の範囲には派遣労働者も含まれるものとされています(個人委託や、業務請負等の労働者は均等法上の対策が必要な労働者ではありませんが、損害賠償の対象とはなりえます。)。
 なお、平成19年の均等法改正で、セクハラは、個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律に基づく助言・指導、あっせんの対象から、均等法に基づく助言・指導・勧告、調停の対象へと変更になりました。対策が講じられず、是正指導にも応じない場合、企業名公表の対象となります。
 セクハラは、労働者の個人としての尊厳を不当に傷つける人権問題であるとともに、労働者の就業環境を悪化させ、能力の発揮を阻害するものです。また、それにとどまらず、企業にとっては、職場秩序や円滑な業務の遂行を阻害し、社会的評価・企業イメージに深刻なダメージを与え、更には、労働組合(とくに駆け込み的な形での個人加盟ユニオン等)の介入に対する団交や争議行為や、損害賠償訴訟への対応などにより直接的な経済的負担をも迫る意味で、今や重大な企業リスクの一つとして対応を迫られている問題です。
2.急増する係争と賠償額の高額化
 実際、労政事務所・労働相談情報センター、雇用均等室等に持ち込まれるセクハラ相談は急増しています。そのような背景を受けセクハラに関する企業への損害賠償請求の要求・交渉、労政事務所・雇用均等室等からの是正指導も急増しています。そのような状況を反映し、セクハラ訴訟数も同様の傾向を示すとともに、裁判例でのセクハラ賠償額も、平成11年前半までは300万円程度で低かったのですが、以下のとおり700万~1100万円台まで認める裁判例(①②)や、出現ついには、逸失利益を含めて1550万円をみとめた裁判例(下記③)もあります。平成15年以降、500万円以上の高額の損害賠償が認められた裁判例はありませんが、今後も事案次第では1000万円レベルの損害賠償が認められる可能性があります(平成15年から平成25年に労判に掲載されたセクハラに関する損害賠償の額の推移については、東京弁護士会「労働事件と慰謝料」119頁(産労総合研究所2015年)以下が参考になります。)。レイプまがいの露骨ないわゆる対価型・地位利用型のケースに限らず、判断が難しい環境型のケースも、今後、女性の権利意識・問題意識の高揚に伴い、益々企業を巻き込んだ事件として増加することが予想され、実際、セクハラ記事が新聞に載らない日がない感すらあります。

①東北大事件・仙台地判平11.5.24判時1705-135
 大学助教授の大学院生に対する言動が、教育上の支配従属関係を濫用したもので性的自由等の人格権の侵害に当たり、慰謝料として750万円の損害賠償の支払を命じたものや
②大阪府知事事件・大阪地判平成11.12.13判時1735-96
 知事の選挙カー中のわいせつ行為に 200万円、その後の記者会見等による名誉毀損に800万円、弁護士費用等合計1100万円の損害賠償が認められたもの。
③岡山セクハラ事件・岡山地判平14・5・15労判832-54
 専務の肉体関係の要求や性的噂の流布がセクハラに当たるとされ、当該行為への会社の使用者責任や違法な降格等により200万円の慰謝料と退職を余議なくされた逸失利益1年分の損害賠償として合計約1550万円が認められたもの。

3.セクシャル・ハラスメントの判断基準
 セクハラに当たるか否かは、言動、回数、性格、意識、場所、抗議後の対応と態様、相互の職場での地位等の総合的相関関係で決まります。判例によれば、「職場において、男性の上司が部下の女性に対し、その地位を利用して、女性の意に反する性的言動に出た場合、これがすべて違法と評価されるものではなく、その行為の態様、行為者である男性の職務上の地位、年齢、婚姻歴の有無、両者のそれまでの関係、当該言動の行なわれた場所、その言動の反復・継続性、被害女性の対応等を総合的にみて、それらが社会的見地から不相当とされる程度のものである場合には、性的自由ないし性的自己決定権等の人格権を侵害するものとして、違法となる」とされています(金沢セクシュアル・ハラスメント控訴事件・名古屋高金沢支判平成8・10・30労判707-37、最高裁でも金沢セクシュアル・ハラスメント上告事件・最決平成11・7・16労判767-14、16で結論が支持されました)。
 しかし、たとえ1回目の嫌がらせの行為でも重大な違反の場合は違法とされ得ます。又、厚生労働省指針やセクハラ防止指針に違反しなくとも、損害賠償や、同各指針などより厳格な規定を設けている社内・省庁内セクシャル・ハラスメント禁止条項等懲戒処分・解雇もあり得ます。
4.社内的制裁-人事・労務管理上の責任
 セクハラは、社内制裁としての懲戒処分や解雇の問題にもつながっています。また、ここでの適切・厳正な処分の遂行が次の企業のセクハラ問題からの免責とも関連してきます。セクハラ指針においては、就業規則等においてセクハラを行った者対する懲戒規定を定め、その内容を労働者に周知・啓発することや、実際にセクハラが起こった場合には、行為者に対して必要な懲戒や人事上の措置を行うことが必要とされています。
処分のレベルが問題になった事案として、福岡セクシュアル・ハラスメント事件・福岡地判平成4・4・16労判607.6では、三日間の自宅謹慎(賞与から5万円の減俸もあった)を命じたに止まったのが職場環境調整義務違反の一要素とされました。
 なお、その懲戒処分が加害者側から争われるリスクも当然あります。例えば、コンピューター・メンテナンス・サービス事件・東京地判平成10.12.7労判 751-18では、派遣社員に対する強制わいせつ的行為が悪質としてなされた懲戒解雇の効力が争われましたが、有効とされています。
 その他の判例に現れたセクハラへの懲戒処分例を見ておきますと、免職処分が有効とされた例、普通解雇が有効とされた等があります。一方で、処分が重過ぎるとして、処分が無効であるとする裁判例もあり、現場の対応を難しくしています。しかし、海遊館事件(最一小判平成27年2月26日労判1109号5頁)では、性的な発言を主とするセクハラをした者に対して行われた出勤停止について、その処分の有効性が争われ、高裁は処分が重すぎるとして無効としましたが、最高裁は処分を有効と判断しました。これは、言葉のみのセクハラに対しても、その内容によっては出勤停止という重い処分が有効とされうるものとして、企業における対応の目安となります。
 勿論事案の程度・内容によりますが、裁判所がセクハラ理由の解雇において、加害者に厳しい態度を取ることは、判例が企業にセクハラ加害者への厳しい処断を求めていることとの社会通念上のバランス、論理的整合性からも容易に予想されるところでしょう。
5.セクハラ賠償事件における企業の抗弁―いかなる場合に企業は免責されるか
【1】選任監督上の注意義務の履行の抗弁は困難
 セクハラ賠償事件における企業側の抗弁としては、単に、選任監督に当たっての注意義務を履行したこと(民法715条但書)を主張・立証しても免責されないことは同条の判例上明らかです(かかる免責を否定した、兵庫セクシュアル・ハラスメント事件・神戸地判平成9.7.29労判726-100)。

【2】セクハラ防止指針遵守の場合は免責されるか
 そこで、米国判例等において、使用者がセクシャル・ハラスメントを明確に禁止し、苦情処理体制を整えたうえ、事件が起きた場合に、適切な措置をとっていれば使用者の責任が免責されることを踏まえ、それらの措置(例えば、指針の事前・事後の遵守、セクハラ防止措置と発覚後の適切な対応等)がなされたことを主張・立証することとなります。例えば、前述の通り、福岡セクシュアル・ハラスメント事件(上記4前掲)も、加害者への企業の処分が三日間の自宅謹慎(賞与から5 万円の減俸もあった)を命じたに止まったのを職場環境調整義務違反認定の一要素としています。しかし、判例は、これらのセクハラの防止措置の形式的な履行のみによっては容易に免責を認めていません。例えば、厚生農協連合会事件・津地判平成9.11.5労判729-54は、企業側の職員研修等によるセクハラ防止措置の履行による免責の主張を認めませんでした。
 予断は許されませんが、有力学説は、「指針に沿った雇用管理上の対策を十分にしていれば、使用者責任を免れることになろう。」と指摘しており(菅野和夫「労働法」第11版194頁。最近の土田道夫「労働契約法」第2版<有斐閣・2016>756頁も、セクハラ「防止に関する企業の自主的取組みを促進するという観点からも、労働契約の適正な運営を促進する法的規律という労働契約法の観点からも、...免責肯定説を支持すべき」としている)、最近の裁判例でも、会社が均等法上のセクハラ防止措置を履行しているとして、使用者の不法行為責任を否定したものがあります(A社(総合警備保障業)事件・神戸地尼崎支判平17.9.22労判906-25〈但し、セクハラ対象行為がなかったとされた事案〉)。

【3】損害拡大防止やセコンドセクハラ防止のためにも指針の遵守が必要
 ただ、少なくとも現在の段階でも、指針に沿った措置を取ることは、共同不法行為責任を免れたり、責任の寄与率上有利な判決を得たり、過失相殺の主張が認められたり、あるいは、直接の加害者との求償請求で責任割合上有利な解決が図られるなどの効果は期待できることから、企業にとって無視できない効用があります。そのため、指針に沿った対応は最低限の努力として望まれます(下関セクハラ事件・広島・高判平成16・9・2労判881-29は、使用者の指針に沿った雇用管理上の対応が不十分だったとしてその不法行為責任を認めています)。
 特に、最近、いわゆるセコンドセクハラとして、セクハラ発生後の企業や周囲の対応自体が新たなセクハラとして損害賠償や雇用均等室からの指導対象になることも見られます。一方、企業のセコンドセクハラが認められなかった裁判例として、厚木市事件(横浜地判平成16・7・8労判880-123 使用者として、性的嫌がらせの被害者となった原告の就業環境に配慮し、公平な立場で苦情を処理すべき義務に違反したとは認められないとされました。)、千葉セクハラ(自動車販売会社)事件(東京地判平成16・3・30判タ876-87・被告会社は、原告の使用者として、性的嫌がらせの被害者となった原告の就業環境に配慮し、公平な立場で苦情処理すべき義務に違反したとは認められないとされました)や日本郵政公社事件(大阪高判平17・6・7労判908-72 男性職員がセクシャル・ハラスメントに関して行った申立てに対し、男性職員の勤務する郵政局職員らは男性職員に対して再三事情聴取に応ずるよう促しており、男性職員の方がこれを頑なに拒んできたと認められる事情があること等から、郵政局職員らの対応は国家賠償法上の違法又は雇用契約上の義務違反といえる行為には当たらないとされました。)、X社事件(東京地判平成22・4・20労経速2079号26頁)では、①加害者Cがセクハラの言動に関して相当重い処分(部長から課長への降格等)を受けていることも考慮すると、会社の使用者責任は成立しないとし、②セクハラの被害者である女性を異動させて、Cとの接点をなくし、他方Cについては、課長に降格させて営業所に異動させるなどの処分をして、女性と顔を合わせることのない状態にしたこと等の対応は、セクハラ問題に対する企業の対応として相当なものということができるなどとして、明確に、企業のセクハラ探知後の措置等から会社と加害者のセクハラ賠償責任を否定した)等がありますが、セクハラ認知後の企業の対応の不備が問われるセコンドセクハラにおいては、指針の遵守が企業の免責の有無に大きく影響するものと解され、事後対応にも十分な留意が必要です。具体的には、セクハラ指針では「事実関係を迅速かつ正確に確認しようとしたが、確認が困難な場合などにおいて、法第18条に基づく調停の申請を行うことその他中立な第三者機関に紛争処理を委ねること。」として企業に同制度の利用を呼びかけています((6)参照。)。企業としては、セクハラの申し出に対する対応不備によるいわゆるセコンドセクハラの非難を回避すべくこの制度の利用を検討すべきでしょう。

6.調停による紛争解決の援助
 都道府県各労働局内に厚労省の出先機関として、雇用均等室が置かれています。雇用均等室は、均等法の施行機関として、相談・問い合わせへの対応、法律に基づく事業主への指導、法律に基づく労働者と事業主間の紛争解決援助を行っており、調停の申請も受け付けています。 ここでいう調停とは、セクハラ事案を含む同法第16条に規定する紛争(労働者の募集及び採用についての紛争を除く。)について、当該紛争の当事者の双方又は一方から調停の申請があった場合に、都道府県労働局に設置された紛争調整委員会の行う調停をいい、関係当事者からの意見聴取を行った上で、調停案を作成し、受諾を勧告するものです。職場のセクハラの事項については、関係当事者双方の同意により行為者(セクハラの加害行為者とされる者)の出頭を求め、意見を聴くことができます。当事者間で、調停案に沿った合意が成立すれば、その合意は民法上の和解契約として取り扱われることになります。また、調停による解決の見込みがないときは、調停は打ち切られ、この場合調停を申請した者は調停が打ち切られた旨の通知を受けた日から30日以内に訴えを提起すれば、時効の中断に関しては、調停の申請の時に、訴えの提起があったものとみなされます(法23、24条)。

対応策

1.事実の調査
 以上を踏まえ、第一に必要なことはBの一方的な申立てだけで判断することなく、C及び他の従業員などから事実を聴取して、事実を把握することです。この種の事件はどうしても双方の言い分が真正面から対立しがちですが、おおよその事実関係は確定できるものです。その上でBの申立が正しいと判断した場合は、次のようになります。

2.Cに対する処分の選択
 本件については、懲戒解雇は無理でしょう(男女のトラブルに関して懲戒理由ありとされた豊橋総合自動車学校事件・名古屋地判昭和56・7・10労判370-42も懲戒解雇は重すぎ無効としています)。結局、「けん責、減給、出勤停止、懲戒休職」などの範囲内の中程度の処分として、出勤停止程度が適当と考えられます。つまり本件については、Bにおいても個人的な問題に止めておきたかった節が伺え、これにBは当初Cと不倫関係にあったことや実際のA社に与えた実害の程度、後述の通りBに対する処分が実際には期待できないこととのバランス、Cにおける納得の困難等が考慮されるからです。ちなみに、上記福岡地裁の事件では、被害女性が退職に追い込まれたケースで、環境型のセクハラ実行の上司に対してなされていた処分(正式な懲戒処分か否かは不明)は3日間の自宅謹慎でありましたが、裁判所はこの処分につき、「3日間の自宅謹慎を命じたに止まった」として否定的なニュアンスを示しており、処分の程度としては軽過ぎるとの印象を持っているようです。なお懲戒手続の実行については、Cに対して事情聴取による弁解の機会を与えることが必要となります(設問10-5-2参照)。

3.Bへの処分は
 本来はBに対しても、「社内の秩序、風紀を乱し、または乱すおそれのあったとき」などの就業規則の懲戒事由の適用が考えられます。しかし、現実的には、上司と一般従業員との注意義務の程度や、本件の経過や処分の影響を考慮すると、Bに対する処分は回避するのが賢明でしょう(社内不倫理由の懲戒解雇が無効とされたフクダ電子東京南販売事件・東京地判平成元・11・27労判552-58等参照)。

4.Bの配置転換について
 この問題は、上記福岡地裁判決の言う「職場環境を良好に調整すべき義務」から直ちには出て来ません。しかし、A社の社長などCの上司に当る者が、先ずBC間の職場環境の調整に当り、その効果がない場合は、B又はCの配置転換の義務も発生することがあります。その場合、BCのいずれかを異動させるべきかはA社の経営判断、裁量の範囲内のことです。しかし、少なくともBをいわゆる左遷的な職場に追いやることは次の損害賠償の原因となりかねないのでできる限り避けた方が賢明でしょう。

5.損害賠償について
 本件では、未だ損害賠償まではBから求められていません。しかし事実を把握した場合は速やかに上記4.の職場環境調整義務を実行しないと、慰籍料をA社に対しても請求されることになります。このため、上記4.の調整が急がれます。

予防策

 セクハラ予防策としては、次のような点が指摘されています。第一は、就業規則にセクハラ問題を盛り込むことです。例えば、「相手が、望まないのに性的な行動をしかける、しつこく誘うなどセクハラにあたるトラブルを起こした時は、厳重に対処する」というような内容を懲戒規定に入れます。第二は、苦情処理委員会が社内にあれば、女性の委員を入れ、セクハラ苦情の窓口を作る、又は「訴えがあった場合には弁護士に委嘱して苦情を取り上げる」というような項目を就業規則に入れることです。第三は、従業員の意識変革のために従業員教育のカリキュラムの中にセクハラ問題を組み入れる、セクハラについての企業方針を社内報に掲載する等して、周知徹底をはかるなどです。
 特に、相談体制の整備については、人事院規則10-10(平成10年11月13日)に基づく「セクシャル・ハラスメントに関する苦情相談に対応するに当たり留意すべき事項についての指針」は、次の引用部分に限らず、民間レベルでの運用指針としても十分参考とすることが必要でしょう。

第1 基本的な心権え
職員からの苦情相談に対応するに当たっては、相談員は次の事項に留意する必要がある。

  1. 被害者を含む当事者にとって適切かつ効果的な対応は何かという視点を常に持つこと。
  2. 事態を悪化させないために、迅速な対応を心がけること。
  3. 関係者のプライバシーや名誉その他の人権を尊重するとともに、知り得た秘密を厳守すること。

第2 苦情相談の事務の進め方
1 苦情相談を受ける際の相談員の体制等
一 苦情相談を受ける際には、原則として2人の相談員で対応すること。
二 苦情相談を受けるに当たっては、同性の相談員が同席するよう努めること。
三 相談員は、苦情相談に適切に対応するために、相互に連携し、協力すること。
四 実際に苦情相談を受けるに当たっては、その内容を相談員以外の者に見聞されないよう局りから遮断した場所で行うこと。(以下略)

2 加害者とされる職員からの事実関係等の聴取
一 原則として加害者とされる職員から事実関係等を聴取する必要がある。ただし、セクシュアル・ハラスメントが職場内で行われ比較的軽微なものであり、対応に時問的な余裕がある場合などは、監督者の観察、指導による対応が適当な場合も考えられるので、その都度適切な方法を選択して対応する。
二 加害者とされる者から事実関係等を聴取する場合には、加害者とされる者に対して十分な弁明の機会を与える。
三 加害者とされる者から事実関係等を聴取するに当たっては、その主張しに真摯に耳を傾け丁寧に話を聴くなど、相談者から事実関係等を聴取する際の留意事項を参考にし、適切に対応する。
(以下略)」等である。

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