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職場の法律基礎

第8章 正社員以外に関することが知りたい!

派遣労働者から個人事業主への変更はできるのか?(P8-9)

(1)派遣法による1年継続使用後の直接雇用義務等による問題の拡大
 労働法上の労働者の範囲(いわゆる労働者概念)の問題は、以前から裁判例や労働委員会命令で論じられてきました。しかし、派遣労働の世界でこの問題が最近特に注目されているのは、平成11年12月以降、1年の期間制限を超て継続して労働者派遣が行なわれた場合には、派遣先が直接雇用の努力義務を負担する場合があることになった関係から(40条の3)、この直接雇用義務回避の手段として、派遣労働者を個人事業主として、派遣先と業務委託契約や請負契約を結んで仕事を続けさせる方法が取られることがあることが報じられています。
 その他にも、派遣の場合に限らず、企業にとって、雇用の場の法規制は均等法、育児介護休業法等においては強化され、かつ経済的にも労働保険、社会保険の負担も大きく、企業はこれらの規制・負担を回避したい衝動にかられています。そして働く側においても、とりわけ起業家(entrepreneur)志向の中で、とりわけIT(情報技術)関連で、一定、指揮命令等の拘束を受けず、正に個人事業主としてサービスを提供したいとのニーヅも生まれています。
(2)労基法・派遣法・職安法上の労働者
[1]具体的な判断の困難
 その労働者の範囲については、一般的な労働法上の労働者概念として論じる立場もありますが、最近では、労基法等の個々の法律に即した労働者概念が論じられています。なお、ここで主に問題とする労働保険、派遣法・職安法上の労働者概念の基礎となる労基法上の労働者概念を紹介しておきます。労基法9条は、その適用対象である「労働者」を「使用される者で、賃金を支払われる者をいう」と規定していますが、具体的な事案についてこの「労働者」に該当するかどうかの判断は必ずしも容易ではありません。

[2]裁判例に見る具体的判断
 具体的には、労働法上の労働者該当性の判断は、単に契約関係が雇用か委託・請負かなどの契約形式によりませんが、外務員や在宅ワーカー等の特殊契約関係にある就業者について、労基法上、「使用され」ると言える典型例は、仕事依頼に対して断ることができず、業務の内容や遂行の仕方・方法について指揮命令を受け、就業場所や就業時間が拘束され、業務遂行を他の人に交替させることができないなどといった事情がそろう場合です。報酬面でも、その計算方法、支払形態において従業員の賃金と同質か、事業所得としての申告の有無、個人事業主への契約代金と言えるかなどを、所得税の源泉徴収の有無又は、労働保険、社会保険徴収の有無などから総合的に見て、当該報酬が賃金に当たるか否かが判断されます(例えば、最近、自己所有のトラックを持ち込み会社の指示に従って製品等の輸送に従事していた運転手<傭車運転手>が災害を被ったことにつき、労災保険法上の労働者性が争われ労働者性が否定された横浜南労働基準監督署長事件・最判平11.28 労判714-14参照)。
 以上の判断で実質的に、請負に変わった元派遣労働者が、委託先の指揮命令下になく、独立自営で、自己の計算と責任において事業を営む個人事業主として、委託先と業務委託契約や請負契約を結んで仕事を続けるのであれば、その者は労働者でないことになり、労働者であることを前提とした職業安定法、派遣法をはじめとする労働関係法規、社会保険法の適用はされないこよになります。従って、逆に実態的にBが労働者ということになれば、委託先等は、それらの関係法令の規制を免れないことになります。
 なお、最近、労働契約から請負契約への切り替え拒絶を理由とする契約終了の効力が否定された裁判例が現れています(三精運送機事件・京都地福山支判平成 13.5.14労判805-34参照)が、もとより、派遣労働者に請負契約への変更を受諾する義務はありません。

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