法律Q&A

分類:

利息の請求

弁護士 浅見 雄輔
1997年4月:掲載

相手方の代金が遅れているのですが、利息を請求できるのでしょうか。

A社は、B社と建築資材を販売する契約を締結し、契約どおり建築資材をB社に納入しました。ところが、B社は契約で定めた代金支払いの期日を過ぎても代金を支払いません。A社としては、代金の外に代金支払いが遅れた分の利息を請求できるのでしょうか。

金銭債務の支払いが遅れた場合には法律上当然に、年5%または年6%の割合の遅延利息を請求できます。

1. 債務不履行と損害賠償
 民法は、「債務者がその債務の本旨に従った履行をしないときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる」旨規定しています(民法415条)。本問の場合、B社の負う債務は、約束の期日に約束の代金を支払うということなのですから、B社がその債務を履行しない以上、A社はB社に対し、損害賠償の請求をしうることになります。
2. 金銭債務の特則
 それでは、いかなる範囲につき損害賠償を請求できるのでしょうか。この点、民法は、一般的には、債務不履行により通常生ずべき損害及び特別に生じた損害であっても債務者が予見できた損害につき、損害賠償を請求できると規定します(民法416条)。そして、その損害の発生、および特別損害であれば予見可能であったことについて損害賠償を請求しようとする者が証明しなければなりません。
 これに対して本件のような金銭債務、すなわち、代金の支払債務、借金の返還債務等の場合については、特別に、「その損害賠償の額は、法定利率によって定める」として、代金あるいは借金額の何パーセントという形で損害賠償金を支払わなければならないとし、損害賠償を請求しようとする者は、実際に損害が発生したということを証明することなくして損害賠償の請求をすることができると規定しています。さらに、金銭債務の場合は、債務者が不可抗力で支払が遅れたとしても、その損害賠償の支払を免れることはできません(民法419条)。
 このように、金銭債務の損害賠償額は利率により定められているので、特に「遅延利息」といわれることもあります。
 もっとも、金銭債務の損害賠償額が以上のように特別に定められていることを逆にいうと、金銭債務の場合には、法定利率で定める額以上の損害が実際発生したとしても、その請求をすることはできないということになります。したがって、例えば、代金の支払が遅れたため、売主が資金繰りに窮し、やむなく高利貸しから借金せざるを得ないことになったとしても、法定利率を超えた分についての損害は請求できないことになります。
3. 法定利率

 

 それではここでいう法定利率とは具体的にはどれくらいの利率なのでしょうか。この点、一般の個人と個人の取引により発生した金銭債務であれば、年5パーセント(民法404条)となりますが、商売上の取引により発生した金銭債務の場合には、年6パーセント(商法514条)となります。

対応策

以上のことを整理して本件にあてはめると、本件の代金債務は、既に述べたとおり金銭債務ですから、A社は、特別な定めがなくても、当然にB社に対して、法定利率による損害賠償を請求することができることになります。そして、本件代金は、A社が商売として納入した建築資材の代金なのですから、商事法定利息である年6パーセントが適用されることになります。従って、A社は、B社に対して、代金支払いの期日の翌日から代金完済の日まで、未払い代金の年6パーセントの割合による遅延利息を請求できることになります。

予防策

 以上のとおり、金銭債務については、その支払が遅滞した場合には、法律上当然遅延利息を請求できるとしても、それは、年5パーセントないし年6パーセントということになり、それ以上の損害が発生してもその分の損害賠償は請求できないことになります。
 当事者間の合意により法定利率以上の利率を定めることは可能なのですから、それ以上の損害賠償を請求したい場合には、予め契約でその旨の約束をし、後日の証拠のため契約書に明確にそのことを記載をしておくことが必要となります。

関連タグ

身近にあるさまざまな問題を法令と判例・裁判例に基づいてをQ&A形式でわかりやすく配信!

キーワードで探す
クイック検索
カテゴリーで探す
新規ご相談予約専用ダイヤル
0120-68-3118
ご相談予約 メルマガ登録はこちら