法律Q&A

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借地契約の満了と更新料

弁護士 相川 泰男
1997年4月:掲載

借地契約の期間が満了しようとしているが、地主が請求している更新料を支払わなければならないか。

この度、20年間の借地期間が満了しますが、地主から、借地契約を更新するのであれば、更地価格の10パーセント相当の更新料を支払うよう請求されています。これに応じなければならないのでしょうか。

法律上の支払義務はないが、適正な相当額であれば更新料の支払いに応じて、合意による更新契約を締結します。

1.更新料の意義
 借地期間が満了したときに、その契約の更新に際して、借地人から地主に支払われる一時金を更新料といいます。東京などの大都市ではこの更新料支払の慣行が相当程度進んでいるようですが、しかし、借地契約の期間が満了しても、建物が存続している限り、地主に正当な事由がなければ借地契約は同一条件で法定更新されるので(旧借地法4、6条、借地借家法5条)、更新料を支払わなければ更新できずに借地契約が終了してしまうということはありません。また、地主の請求があれば当然に更新料支払義務が生ずる慣習法は存在しないというのが現在の判例の立場です(最判昭和51.10.1判時835ー63)。
 したがって、更新料支払の合意がないときは、地主から請求されても借地人に更新料支払の義務が生じるわけではありません。これに対し、更新料支払の合意をしたときは、額が暴利性を帯びないかぎり、その支払合意は、当事者の私的自治に基づくものとして有効であると考えられています。
2.更新料不払の効果
 それでは、どうして更新料支払の慣行が進んでいるのでしょうか。地主から請求されて更新料を支払わない場合には、以下のような不都合が考えられます。まず、【1】地主は、正当の事由があれば、借地期間満了後の借地人の土地使用継続に対して異議を述べ、法定更新を阻止することができるわけですから、合意による更新契約(合意更新)が締結できないときは、正当の事由の存否をめぐって紛争になる可能性があります。更新料の法的性質について、更新につき異議を述べないこと(異議権放棄)の対価とか、訴訟を回避するための対価であると言われるゆえんです。次に、【2】借地人が借地権の譲渡・転貸や、借地条件の変更、建物の増改築をする場合、通常地主の承諾を得なければなりませんが、更新料を支払っていないと、地主から任意の承諾を得ることは期待できません。もっともその場合には、裁判所に地主の承諾に代わる許可を求めることができますが、裁判所がこの許可を与える際に借地人に支払を命じる承諾料の額の算定にあたっては従前の更新料不払の事情も考慮されることになります(17条)。また、【3】法的更新の場合、更新後の期間を合意できないので、建物が朽廃するとその時点で借地権は消滅してしまいます(借地借家法では朽廃の規定は廃止されていますが、同法施行前に設定された借地権については、なお朽廃規定の適用があります)。ただし、建物を使用している限り朽廃による借地権の消滅が認められることはほとんどないので、さほどこのことを心配する必要はありません。

対応策

合理的な更新料の算定方法
以上のように、更新料支払の合意がない場合には、地主から更新料を請求されても、その支払義務はありませんが、紛争を未然に防ぎ円満な借地契約関係を継続するため、交渉によって適正な相当額になるのであれば、更新料の支払に応じて、合意による更新契約を締結するほうが賢明と考えられます。そこで、適正な更新料の金額はいくらかが問題となります。
更新料の額は、一定ではなく、結局、契約の経緯、内容、地代改定の動向、建物の状況等の種々の要素を総合的に勘案し、当事者間の交渉により決せられることになりますが、一般的には、土地の更地価格または借地権価格を基準にして算定されることが多く、東京地区の標準的な更新料の金額は、概ね、借地権価格の5~10%、あるいは更地価格の2~6%の範囲などと言われています。したがって、設問の更地価格の10%の請求は、高額に過ぎるので、地主がこれを減額しないのであれば、結局支払を拒否することになります。
なお、更新料の支払に応じる代わりに、建物の増改築や借地条件の変更を承諾するよう交渉することも考えられます。

予防策

更新契約書の作成
更新料の額について合意ができた場合には、せっかく更新料を支払って合意更新をするのですから、更新に際して更新契約書を作成すべきです。更新契約書には、20年以上の合意した期間を明記するとともに、将来における借地条件の変更や増改築の承諾を得ることができれば、それを契約書に記載します。

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