登記所に登記手続に行くのですが、どのような書類を持っていけばよいですか。
業用財産として土地を購入しましたので登記をしたいと思います。どのような書類が必要ですか。その土地に抵当権を設定する場合はどうですか。
登記手続の内容によって細かく異なりますので、詳細は登記所(法務局)に聞いてみてください。
- 1.登記申請書類について
- 登記の申請をするためには、必要な事項を記載した申請書とその添付書類を登記所に提出しなければなりません(不登法18条、不動産登記令7条)。登記官が登記申請の可否を審査するために、登記申請に必要な書類は法定されています。
①登記原因証明情報(不登法61条、不動産登記令7条1項5号ロ)~登記申請の目的となる不動産の権利変動についての法律行為、法律事実の成立を証明する書類です。これは、登記完了後、登記済証として登記権利者に返還されます。例えば、売買契約書(所有権移転登記)や抵当権設定契約書(抵当権設定登記)等がこれにあたります。
②登記済証~登記申請する登記義務者が、前回登記権利者として権利の登記を受けた際に交付された登記済証のことをいいます。これは、登記義務者の申請意思を確認すると共に登記の申請を担保するために必要となります。所有権保存登記や相続登記のように登記義務者がいない場合や登記権利者の単独申請が認められる場合、そして法定事由により官公署が登記権利者として登記嘱託するような場合等は、登記済証の添付を必要としないし後で述べる代替書類としての保証書も必要としません。当初から登記済証が作成されない場合には、登記済証の代わりに保証書を使用しているようです。これは、作成依頼者が「登記義務者本人に異議ない」ことを保証人が保証することにより登記申請の真正を担保するものです。
③登記原因についての第三者の許可書等(不動産登記令7条1項5号ハ)~第三者の許可、同意または承諾が登記原因となる法律行為または権利変更の効力にかかる場合(農地の権利移転の際の農地委員会の許可等)には、その許可書等を添付して虚偽登記を防止しようとするものです。
④代理権限証書(不動産登記令7条1項2号)~代理人により申請する場合には、その者の代理権限を証する書面を添付します。任意代理人の場合は委任状であり、法定代理人の場合は、戸籍謄本(親権者・後見人)や裁判所作成の選任書(管財人)等であり、法人の代表者や支配人の場合は商業登記簿謄本(作成後3ヶ月以内)となります。
⑤相続を証する書面(不動産登記令7条1項4号)~相続による権利移転の登記をする場合や相続人が被相続人に代って登記申請する時には、相続人であることを証明する書類を添付します。法定相続分による場合は、相続人全員の出生から現在までの戸籍謄本と被相続人の14歳くらいから死亡時までの戸籍(除籍)謄本を揃える必要があり、法定相続分によらない場合には、それ以外に特別受益者証明書や遺産分割証明書(ともに印鑑証明書付)が必要です。なお、相続関係説明図を添付すれば、添付書類の原本返還をしてくれます。
⑥代位原因証書(不動産登記令7条1項3号)~債権者が民法423条の規定により債務者に代位して登記申請する時に必要となる書類で、債権者と債務者間の法律関係を証する書面がこれにあたります。
⑦登記上の利害関係人の承諾書~登記簿に記載されている者で、登記簿の記載から判断して、その登記の実行により登記簿上不利益を受ける者を登記簿上の利害関係人といい、これらの者に不測の損害を与えることを防止して登記をめぐる紛争を未然に防止するために必要とされています(不登法68条等)。
⑧住所証明書~表示登記・所有権保存登記・所有権移転登記の申請時には、申請人または登記権利者の住所を証する書面を添付します。自然人の場合は住民票、法人の場合は商業登記簿謄本がこれにあたります。
⑨印鑑証明書~所有権に関する登記名義人が登記義務者になる場合と所有権以外の権利に関する登記名義人が「保証書」を出して登記義務者となる場合に添付する必要があります。作成後3ヶ月以内のものである必要があり、申請書や委任状に押した登記義務者の印と照合することにより、登記義務者が登記申請意思を有しており登記手続に関与していることを担保するために必要なのです。
⑩固定資産税評価証明書~登記申請の時には、登記の目的に応じて、現金又は印紙にて登録免許税を納めなければなりませんが、この税額計算の基準となる不動産価格を示すものとして必要となります。
対応策
以上のことから、設問の場合はそれぞれ次の書類を揃える必要があります。 まず、土地の所有権移転登記の場合ですが、買主としては住所証明書と代理申請する場合には代理権限証書で十分であり、売主としては売買契約書・登記済証・印鑑証明書・固定資産税評価証明書・法人であれば資格証明書・代理申請する場合には代理権限証書ということになります。登録免許税は、(課税標準)×(税率)で計算され、平成21年3月31日までは税率は1000分の10で、100円未満は切り捨てます。以後の税率の規定については法務局のホームページ等を御参照下さい。
次に、土地の抵当権設定登記の場合ですが、債権者とすれば、代理申請する場合に代理権限証書を用意すれば足り、あとは債務者の方で抵当権設定契約書・登記済証・印鑑証明書・法人であれば資格証明書・代理申請する場合には代理権限証書・共同担保になる場合は共同担保目録作成に必要な情報を用意することになります。登録免許税は、課税標準額(債権金額で、1000円未満は切り捨てます)の1000分の4で、100円未満は切り捨て、計算した額が1000円未満の場合には1000円になります。