会社にはどのような種類のものがありますか。一度作った会社を別の会社に変更することができますか。
私は個人企業で商売してきましたが、最近売上げが上がってきたので税金対策等の問題も考えて、法人化しようと思っています。会社にはどのような種類のものがありますか。一度有限会社を設立した後に、資金的余裕が出来た時点で株式会社に変更することが出来ますか。
会社には、合名会社・合資会社・合同会社・株式会社があります。
組織変更は①持分会社から株式会社へ、②株式会社から持分会社への2つの場合が認められます。
- 1.会社の種類
- 会社には、株式会社と持分会社の2類型があり、持分会社には、合名会社・合資会社・合同会社の3種類があります(会社法2条1項)。
なお、会社法施行(平成18年5月)前は、有限会社法により会社の種類には有限会社も認められていましたが、有限会社制度は廃止されたため、新たに設立することは出来ません。 - 2.持分会社
- 持分会社には、合名会社と合資会社、合同会社があり、各社員が個性を有する人的会社です。
①合名会社・合資会社
合名会社及び合資会社は、会社のオーナー(法的には「社員」と言います。ここでいう「社員」とはいわゆる「従業員」という意味ではなく、出資者を意味します。)が会社の債権者に対して直接の支払義務を負う形態の会社です。直接の支払義務には、何らの制限のない無限責任を負う無限責任社員と、出資の限度でしか責任を負わない有限責任社員とに分類されます。合名会社は無限責任社員だけで構成されるのに対し、合資会社は無限責任社員と有限責任社員とで構成されます。合名会社と合資会社は、設立の時点で全額の出資を必要としない点で資金面からは設立が容易ですが、オーナー(合名会社の各社員及び合資会社の無限責任社員)は会社の債権者に対して直接の無限責任を負わなければならないため、事業を失敗した場合には必然的に個人財産にまで責任が及ぶ(会社の債務を社員個人の財産を持って弁済しなければならない)という難点があります。
合同会社・合資会社の全社員は、それぞれ業務を執行します。
②合同会社
合同会社は、会社法で創設された新しい種類の会社で(会社法576条4項)、全ての社員が出資の額までしか責任を負わない有限責任社員である点で、合名会社・合資会社と異なります。しかし、全社員がそれぞれ業務を執行し会社を代表する点では同様です。 - 3.株式会社
- 株式会社の場合、社員は、社員になるにあたって出資義務を全額履行しなければならない反面、会社に払い込んだ出資金だけが会社の債権者の引当てとなり、社員が会社の債権者に対して直接の支払義務を負わない形態の会社です(この社員の責任を間接有限責任といいます)。そのため社員は、原則として、出資の限度でしか責任を負いません。この点が、合名会社や合資会社に比べてオーナーにとって有利な点です。株式会社は1人で出資して会社を設立できますが、業務執行と会社代表については株主総会で取締役を選任し、取締役が取締役会を構成し、代表取締役を選定し、代表取締役が行うというのが典型的です。したがって、株式会社の設立においては取締役及び監査役(取締役は一定の法的責任を負います)になってくれる人を探さなければなりません。
- 4.組織変更
- 一度設立した会社を他の形態の会社にすることも、法人格の同一性を保つ限り、つまり、従前の権利義務を一切引き継ぐ限り、一定の場合に限って認められます。会社の法人格の同一性を保ちながら、組織を変更して他の類型の会社にすることを組織変更といいます。なお、合名会社・合資会社・合同会社間での変更は、「持分会社の種類」の変更にすぎないため、組織変更にはあたらず、定款変更(総社員の同意)により種類変更することができます。
なお、組織変更は①持分会社から株式会社へ、②株式会社から持分会社へ、の2通りが考えられます。いずれも、組織変更の手続きを経ることで可能です。
1、組織変更計画を作成し、②の場合には事前に開示し、株主および会社債権者の閲覧に供します。
2、組織変更計画について総株主の同意(株式会社)または総社員の同意(持分会社)を得て、さらに、会社債権者の異議手続を行う必要があります。
3、以上を経ると、組織変更計画で定めた効力発生日に組織変更の効力が発生し、登記をすることになります。
対応策
会社(法人)化するメリットは、①対外的信用の増大(求人・資金集め取引きに有利です)、②有限責任による事業リスクの回避、③税負担の軽減等があげられます。
会社には、合名会社・合資会社・合同会社・株式会社の4種類がありますが、いわゆる物的会社である株式会社が一般的です(いわゆる人的会社である合名会社と合資会社とは②のメリットを享受できません)。
会社法では、取締役会の設置も任意になり、中小会社向けに簡素な機関設計も認められていますので、株式会社の設立が容易になりました。
予防策
会社設立後の組織変更は総株主または総社員の同意が必要であるなど手続きが煩雑ですので、設立の時点で、専門家に相談するなどして長期的展望に立って、目的に適合した会社を設立しておきましょう。
(C)2016 Makoto Iwade,Japan