会社は、株主名簿の名義を書き換えるにあたって、どんなことに注意をすればよいですか。
株式を譲り受けたいう者が、会社に対して株主名簿の名義書換を請求してきました。会社はどのように対応すればよいのですか。名義書換に際しての留意点を教えて下さい。
株券を提示させなければなりません。また、新名義人が使用する印鑑を届け出させておかなければなりません。
- 1.株主名簿の書換
- 株券の占有者は、権利者と推定されますので(会社法131条1項)、名義書換請求者が、株券を提示しさえすれば、権利者であることまでを立証しなくとも、会社は、その者が無権利者であること(例えば、その者が株券の盗取者又は拾得者であること等)を立証できない限り、名義書換請求を拒むことはできません。株式譲受人が会社に対して株券を提示して株主名簿の名義書換を請求したにもかかわらず、会社が故意又は過失によってそれに応じなかった場合には、会社は、従前の株主名簿上の株主を株主として扱うことが許されず、名義書換請求者の権利行使を拒むことができないと考えられます(最判昭和41年7月28日民集20巻6号1251頁)。反面、会社は、その者の名義書換請求に応じさえすれば、悪意・重過失がない限り免責されます。
対応策
会社は、株主名簿の名義書換請求者が無権利者であることを立証できる場合でない限り、株券を提示させた上で名義書換に応じなければなりません。その際、権利行使に使用する印鑑を届出させておきます。また、会社は、提示された株券上に新名義人を表示しなければなりません。この表示は、新名義人の記載のある株券を新たに発行する方法と提示された株券(通常は裏面)に新名義人を記載して返還する方法とがありますが、通常は後者によって行います。
(C)2007 Makoto Iwade,Japan