法律Q&A

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社外監査役

弁護士 船橋茂紀1997年 4月:掲載
弁護士 小林昌弘2001年 2月:校正
弁護士 岩出 誠2008年11月:補正
弁護士 結城 優2016年 8月:補正

社外監査役は必ず置かなければならないのですか。

商法特例法上の大会社は社外監査役を置かなければならないと聞いていましたが、会社法施行後は全ての会社について社外監査役を置かなければならないのですか。

監査役会設置会社においては必ず社外監査役を置かなければなりません。

1.監査制度

 昭和49年の商法改正、昭和56年の商法改正及び平成5年の商法改正によって、監査制度が充実されるに至っています。
 そして、平成13年の商法改正では、商法特例法上の大会社(資本の額が5億円以上又は負債の合計金額が200億円以上の株式会社)は、3人以上の監査役のうち、半数以上は社外監査役でなければならないとされました。
  さらに、会社法の制定に伴い、商法旧会社編、商法特例法上の規定は廃止され、新しい監査制度が規定されました。原則として監査役は会社の定款の定めによって任意に設置される機関となり、機関設計についての規制が大幅に見直されました。そして、3人以上のうちその半数以上(過半数ではありませんので注意が必要です)の社外監査役を置かなければならないのは、商法特例法上の大会社から監査役会設置会社に変わりました(会社法335条3項)。
 もっとも、会社法328条1項により、公開会社で委員会設置会社ではない大会社(資本金の額が5億円以上又は負債の合計金額が200億円以上の株式会社、会社法2条6号参照)は、監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社を除き、監査役会をおかなければならないとされています。

 監査等委員会設置会社制度は、平成26年改正により新たに設けられた機関設計であり、社外取締役を中心とする監査等委員会に監査権限、監督権限を持たせ、社外取締役による監督の充実を意図した制度となっています。監査等委員会設置会社であれば、社外取締役と社外監査役の重複感や人選の負担感を解消することができることから、平成26年改正以後、監査役会設置会社から監査等委員会設置会社に移行した企業ないし移行を表明している企業は数多く存在します(日経新聞16.07.25付け記事では、同制度施行後1年間で400社超が移行したと報じられています)。

2.監査役の地位
(1)
 監査役は株主総会によって選任されます(会社法329条1項)。監査役の任期は原則として「4年」(取締役は2年です。取締役と監査役の任期は異なりますので注意して下さい)とされており(同法336条1項)、独立性を保障するため定款等で短縮することはできません。

(2)
 監査役の職務執行の中立性を維持するために、監査役は、当該会社又はその子会社の取締役・支配人その他の使用人又は当該子会社の会計参与若しくは執行役を兼職できないこととされています(同法335条2項)
 また、社外監査役の要件は同法2条16号に規定されています。平成26年改正により、親会社等の関係者でないこと、経営者または親会社等の近親者でないこと等が要件として追加され、独立性の要件は厳格化されました。他方、平成26年改正前は、社外監査役の要件として、過去一度も当該株式会社及びその小会社の業務執行に関与する役員や使用人になはなったことがないことが求められていましたが、平成26年改正により、原則として就任前の10年間、株式会社またはその小会社の業務執行取締役であったことがなければ足りるとされ、過去要件については緩和されています。

3.監査役の権限及び責任
(1)
 監査役は、取締役の職務の執行を監査する機関で(会社法381条1項)、原則として会計監査を含めた業務監査を行います。監査役はいつでも取締役らに対して、事業の報告を求めることができ、監査役会設置会社では会社の業務及び財産の状況の調査をすることができます(同条2項)。監査とは、業務執行の法令・定款違反または著しい不当性の有無を調べて指摘することであって、監査役は各自が独立して権限を行使します(独任制)。なお、監査役会の決議は、監査役の過半数で決定します(同法393条1項)。

(2)
 監査役が任務を怠ったときは連帯して会社に対して損害賠償の責任を負う(会社法423条、430条)とともに、任務を行うについて悪意又は重大な過失があったときには第三者に対しても損害賠償の責任を負います(同法429条、430条)。

(3)
 平成26年改正前は、責任限定契約を締結できる者は、社外取締役、社外監査役、会計参与、会計監査人に限定されていました。しかし、平成26年改正により、責任限定契約を締結することができる者の範囲が拡大され、社内監査役も含む全監査役が責任限定契約を締結することが可能となりました(同法427条1項)。

対応策

平成5年の商法改正によって大会社においては社外監査役制度が導入され、さらに会社法において監査役会設置会社ではその半数以上が社外監査役でなければならないとされました。そこで、あなたの会社が、監査役会を置いているならば、社外監査役を置かなければなりません。この違反に対しては、会社の取締役は、100万円以下の過料の制裁を受けることがあるとともに(会社法976条20号)、会社又は第三者から損害賠償請求を受けることもありえます(同法423条、429条)。監査役会は原則として会社の定款の定めによって任意に設置される機関ですので(同法2条10号)、会社の機関設計を考える上で、社外監査役の選任についても考慮すべきです。また、平成26年改正により監査等委員会設置会社という新たな機関設計が導入されたため、自社の状況を踏まえ、監査役会設置会社から監査等委員会設置会社への移行についても検討すべきです。

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