法律Q&A

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定款の記載事項及び定款の変更

弁護士 浅見 雄輔
1997年4月:掲載(校正・小林 昌弘2001年2月)(再校正・大濱 正裕2007年12月)

定款にはどのようなことを記載するのですか。一度記載したことは変更できないのですか。

私はこの度、これまで勤めていた会社を退職し、自分で株式会社を設立することにしました。ところで会社設立に当たっては定款を作成しなければならないとよく耳にします。定款とは一体何なのでしょうか。また、どのようなことを記載すればよいのでしょうか。一度記載したことは変更できないのでしょうか。

定款には、会社の目的など必ず記載しなければならない事項と、株式の譲渡制限など記載しなくてもよいが記載しないと効力を認められない事項と、役員の人数など記載しなくても効力は認められるが記載してもよい事項があります。

1.定款の意義
 定款とは、会社の組織・活動を定める根本規則またはその根本規則を記載した書面をいいます。言ってみれば会社の憲法のようなものです。そして、設問のとおり、会社の会社を設立にあたっては必ず定款を作成しなければなりません(会社法第26条)。
 それでは、この定款はどのような効力を有しているのでしょうか。まず、株主総会はじめ取締役会、代表取締役その他会社の機関は、この定款に定められた事項に拘束されます。従って、定款に違反する行為をなし、その結果会社に損害を与えたような場合には、損害賠償責任を負うことになります。
 さらに、定款は、会社の活動できる範囲を制限します。すなわち、後に述べるように定款には会社の目的が記載されますが、会社の活動はここに記載された目的に限られるのです(民法43条参照)。もっとも、定款の目的の範囲といっても、定款に記載された目的自体のみならず、そこから当然導かれる事項、すなわち、定款に記載された目的の達成に必要または有益な行為も含まれるとされています(最判昭和27.2.15民集6-2-77、最判昭和30.11.29民集9-12-1886)。
とはいっても、定款記載の目的と全く関係ない行為は会社の行為とは認められませんので注意が必要です。
2.定款の記載事項
 それでは、定款にはいかなる事項を記載するのでしょうか。定款の記載事項には、必ず記載しなければならない絶対的記載事項と定款に定めなくてもよいが定款で定めなければ効力が認められない相対的記載事項と定款外で定めても効力は認められるが定款で定めてもよい任意的記載事項に分かれます。

(1)絶対的記載事項
 株式会社においては、以下の事項が絶対的記載事項とされており(会社法第27条)、これらのうち一つでも欠ければ定款は無効となります。
 [1]会社の目的。すなわち、会社が営利目的を達するために営む事業のことです。これは複数記載しても構いません。
 [2]会社の商号。すなわち、会社の名前です。なお、株式会社であれば、「株式会社」の文字を使用しなければなりません(商法第6条第2項)。
 [3]本店の所在地。市町村の単位で定めれば足ります。
 [4]設立に際して出資される財産の価額又はその最低額
 [5]発起人の氏名及び住所。発起人とは会社設立の企画者として定款に署名した者です。
なお、平成2年の商法改正前までは、発起人は7人以上必要とされていましたが、同改正後は最低人数の制限はなくなり、1人でも株式会社を設立できることになりました。

(2)相対的記載事項
 会社法が相対的記載事項として規定する主なものを上げると、[1]設立の際に現金ではなく現物を出資する者の氏名、または名称、当該財産及びその価格並びにその者に対して割り当てる設立時発行株式の数、[2]株式会社の成立後に譲り受けることを約した財産及びその価格並びにその譲渡人の氏名又は名称、[3]株式会社の成立により発起人が受ける報酬その他の特別の利益及びその発起人の氏名又は名称、[4]株式会社の負担する設立費用などがあります(会社法第28条)。

(3)任意的記載事項
 絶対的記載事項または相対的記載事項以外の事項についても強行法規または公序良俗に違反しない限り、自由に任意的記載事項として定款に定めることができます。定款で定めるメリットは、一旦定款で定めた以上は、定款変更手続によらなければ変更できないということです。株式の名義書換えの手続、定時株主総会の招集時期、株主総会の議長、取締役・監査役の人数、決算期等について定められることがあります。

3.定款の変更手
 定款は、会社の憲法ですから簡単に変更可能であっては困ります。そうかといって、設立の際の定款に未来永劫にわたって拘束され、全く変更できないのも困ります。そこで、会社法は、定款を変更するには以下の手続によるものとしました。すなわち、定款の変更は、株主総会の専決事項とした上でその決議方法は通常の決議方法より厳重に、当該株主総会において議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の3分の2以上にあたる多数をもって行わなければならないとする特別決議が必要であるとしたのです(会社法第466条・第309条第2項第11号)。但し、ある特定の株主に損害を及ぼすような定款の変更の場合には、株主総会の特別決議の外にその株主のみによる総会の特別決議が必要ですし(会社法322条)、定款の変更により株式の譲渡には取締役会の承認を必要とする旨の規定を設ける場合には当該株主総会で議決権を行使することができる株主の半数以上であって、当該株主の議決権の3分の2以上にあたる多数をもって行わなければなりません(会社法309条第3項)。

対応策

以上のとおり、定款には絶対的記載事項として最低限記載しなければならない事項があり、これを欠くと定款が無効となり、ひいては会社の設立自体が無効となってしまいますから、定款の作成に当たっては漏れがないよう十分に注意することが必要です。また、以上のとおり定款を途中で変更するのは、容易ではないのですから、絶対的記載事項以外の事項についても十分に練った上で定款を作成することが必要です。

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