法律Q&A

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現物出資の方法による会社の設立

弁護士 船橋 茂紀
1997年4月:掲載(校正・小林 昌弘2001年2月)(再校正・石居 茜2008年5月)

現金以外の財産を出資して会社を設立することはできますか。

現金以外の財産で出資して会社を設立する方法があると聞きましたが、その手続を教えてください。

定款に記載することによって現物出資ができます。

1.現物出資
 金銭以外の財産、即ち、動産、不動産、債権、有価証券、無体財産権(特許権、実用新案権)等でする出資のことを現物出資といいます。
2.変態設立事項
 金銭による出資と異なり、現物出資の対象財産の過大評価によって会社債権者を害したり、現物出資者と金銭出資者との間の不公平が生じる可能性があるので、原始定款において、現物出資者の氏名・名称、出資の目的である財産、その価格並びにこれに対して与える株式の種類・数を定款に記載させ、その記載がない場合には無効として扱われています(会社法28条1号)(変態設立事項といいます)。また、現物出資の対象となった財産の会社成立当時の実価が定款で定めた価額に著しく不足する場合には、発起人と設立時取締役は連帯してその不足額を支払う義務を負います(会社法52条、103条)。設立の際の現物出資者は、発起人に限定されます(会社法34条1項、63条1項)ので、現物出資をする場合には、発起人として重い責任を負うことを覚悟しなければなりません。
3.検査役の調査
 現物出資に際しては、過大評価のおそれの少ない「一定の場合」以外には、裁判所の選任する検査役の調査が必要とされています。この調査の手続には長期間を必要としますので、タイムリーな会社設立の障害となります。右一定の場合とは、(1)現物出資の対象財産の価額の総額が500万円を越えない場合(会社法33条10項1号)、(2)市場価格のある有価証券であって、定款で定めた価格がその市場価格以下である場合(同項2号)、(3)現物出資等の価額について定款に定めた事項が相当であることにつき弁護士・弁護士法人・公認会計士・監査法人・税理士又は税理士法人の証明を受けた場合(不動産の場合には不動産鑑定士の鑑定評価を受けることが必要です)(同項3号)です。
 設立時取締役等は、(1)(2)の場合には定款記載の価額が相当かどうか等を調査し、(3)の場合には証明が相当かどうか等を調査する義務を負います(会社法46条1項1号2号・93条1項1号2号・94条)。
平成18年5月施行の会社法によって、検査役の調査がいらない現物出資の範囲について、現物出資の対象財産の価額の総額が資本金の5分の1以下でないといけない等の規制が緩和され、対象財産の価額の総額が500万円を越えない場合には、弁護士等の専門家の証明で足りますので、従来より、現物出資が行いやすくなりました。

対応策

前述のように、定款に、法律で定める事項を記載することによって、現金以外の財産で出資することができます。

予防策

会社成立時における実価が定款所定の価格に比して著しく不足する場合には、発起人及び成立当時の取締役が不足額の填補責任を負わされますので、現物出資の対象物の評価を厳密に行うよう注意が必要です。

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