法律Q&A

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社債

弁護士 船橋 茂紀
1997年4月:掲載 (校正・小林昌弘2001年2月)(再校正・石居 茜2008年5月)

社債を発行する方法を教えて下さい。

社債とは、会社が「債券」(社債権を表章する有価証券です)の発行の方法によって行う債務であり、通常は公衆から巨額且つ長期の資金を調達する手段として発行されるものです。平成18年5月に施行された会社法では、会社法上のすべての会社、すなわち、株式会社だけでなく、合名会社、合資会社、合同会社において社債を発行することができます(法676条)。

社債には[1]無担保社債と担保社債、[2]転換社債と新株予約権付社債と分離型新株引受権付社債と普通社債とがあります。

1.社債の意義
 社債とは、会社が「債券」(社債権を表章する有価証券です)の発行の方法によって行う債務であり、通常は公衆から巨額且つ長期の資金を調達する手段として発行されるものです。平成18年5月に施行された会社法では、会社法上のすべての会社、すなわち、株式会社だけでなく、合名会社、合資会社、合同会社において社債を発行することができます(法676条)。
2.社債の特徴
(1)
 銀行等からの借入(「間接金融」と言います)は、公衆から集めた資金に銀行等の利益を上乗せしてなされるので、企業が直接に国民から金を集めた方(「直接金融」と言います)が論理的には資金調達コストが低くなるはずです。また、直接金融による場合、メーンバンクからの必要以上の口出しを回避できます。

(2)
 直接金融の方法として、会社法上は、増資(新株発行)と社債とを規定しています。株式と社債との違いは、第1に、株式には会社の経営に関与する権利が認められるのに対し、社債にはそれがないこと、第2に、株式の場合は配当可能利益の範囲内で利益配当を行えばよいのに対し、社債の場合には利益の有無にかかわらず常に一定の利息の支払をしなければならないこと(従って、社債の額の増加は景気の変動に対する企業の抵抗力を弱めます)、第3に、株式の払戻は原則として認められないのに対し、社債は一定期間経過後償還されること、第4に、残余財産の分配において社債の方が株式よりも優先すること、第5に、株式についての配当は剰余金分配手続によって行われるのに対し、社債についての利息の支払は費用として処理することができるので、社債の方が税法上は有利である(株式の配当率が低い場合など、具体的ケースにおいては結論として必ずしもそうでない場合も生じることに注意して下さい)、第6に、社債の発行は、自己資本比率を下げることなどにあります。

3.社債の種類
(1)
 社債の元利金の支払を担保するための物上担保権が設定されているかどうかによって、「無担保社債」と「担保付社債」とに分類されます。従来は担保付社債が圧倒的でしたが、最近は優良企業の発行するものに無担保社債が増える傾向にあります。

(2)
 権利者が会社に対して権利を行使したときに会社から株式の交付を受ける権利(新株予約権)が付けられた「新株予約権付社債」もあります。新株予約権付社債には、新株予約権の分離譲渡ができず、新株予約権を行使するときは必ず社債が償還されて新株予約権の行使に際しての払込みに充てられる社債(従来の転換社債、以下、転換社債といいます。)と、金銭等以外の財産を出資する形で新株予約権が行使されるもので、新株予約権を社債と分離して譲渡することができない非分離型新株予約権付社債があります。また、新株予約権と社債とを同時に募集し、両者を同時に同一人に対し割り当てる分離型のタイプもあります(従来の新株引受権付社債)。
 これらの権利が与えられていない社債を「普通社債」と言います。転換社債においては、社債権者は会社の経営成績の如何にかかわらず確定額の利息の支払を受けられるという社債権者としての安全性と会社の業績が上がって株価が上昇すれば新株予約権を行使して株式を取得できるという投機性との双方を享受できるので、普通社債よりも有利です。転換社債以外の非分離型新株予約権付社債や分離型の新株引受権付社債においては、転換社債と同様のメリットを受けなおかつ社債を保持できるし、また、為替変動による損失を防止するために利用できるという利点を持っています。

4.発行手続
(1)
 社債の発行は取締役会の決議によってなされます(会社法236条1項・238条1項・240条1項)。取締役会は、発行する社債の総額・利率・償還の方法及び期限等社債の発行の重要な事項を定めなければなりませんが、細目にわたる事項については代表取締役に一任することもできます。

(2)
 転換社債の発行の場合は、その趣旨を定める必要があります(法236条1項3号・238条1項6号7号)。 新株予約権付社債の新株予約権部分について、①無償で発行し、それが新株予約権を引き受ける者に「特に有利な条件である場合と、②払込金額が新株予約権を引き受ける者に「特に有利な金額」である場合には、新株予約権に関する規定に従い、「有利発行」として株主総会の特別決議が必要となります(法238条 3項・239条1項・240条1項・309条2項6号)

対応策

社債の発行は取締役会の決議で決めます。新株予約権付社債の新株予約権部分について、無償発行ないし払込金額が新株予約権を引き受ける者に「特に有利な条件」である場合には、株主総会の特別決議が必要となります。

予防策

近時、規制緩和の影響で、(1)従前社債の発行を妨げていた「適債基準」(格付けによるもの)と「財務制限条項」(他の債権者等に対する担保提供制限、一定水準以上の純資産額維持条項、一定水準以上の利益維持、配当制限)の設定義務とがいずれも廃止されるとともに、(2)店頭公開会社に、新株引受権付社債の発行及び発行登録制度の利用が認められるようになり、また、(3)社債の券面額が1億円以上であるか、社債の総額を社債の最低額で除した数が50未満の場合であれば「社債管理者」を設置せずに起債できるようになり(改正前商法では「社債管理会社」と呼んでいました。)、更に、(4)私募債の発行制限も撤廃されるなど、社債の発行による資金調達が流動的になっています。成長企業の資金調達方法として、効果的な社債の発行の役割は重要なものとなってきています。

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