法律Q&A

分類:

合併

弁護士 船橋 茂紀 1997年4月:掲載
(修正加筆・小林 昌弘2001年2月)
(補正:岩出 誠 2008年11月)

企業同士が合併する場合の法的手続を教えて下さい。

経営不振に陥っているY社は、当社(X社)よりも大規模な会社です。X社とY社とを合併するには新たなC社を設立するべきでしょうか。

合併契約の作成・調印、株主総会の特別決議、債権者異議手続、合併登記等の手続を経ます。

1.概観
 合併とは、2個以上の会社の間の契約(合併契約)により、その当事会社の一部又は全部が解散・消滅して、その財産が存続会社(吸収合併の場合)又は新設会社(新設合併の場合)に包括的に移転し、その社員(株主)が存続会社又は新設会社の社員(株主)になるという効果を生じる契約のことを言います。吸収合併とは合併当事会社のうちの一社が存続し他の会社が解散するものを言い、新設合併とは合併当事会社の全部が解散しそれと同時に新会社が設立されるものを言います。合併の結果、何らの清算手続を経ることなく、合併当事会社の一部(吸収合併の場合)又は全部(新設合併の場合)が消滅します。
2.手続
(1)
 株式会社が合併を行うには、合併契約を締結し、株主総会による承認決議、債権者の異議手続を履行し、合併の登記を行うといった一連の手続が要求されます。

(2)
 合併契約には、株主等の保護のため、法定の事項を記載しなければなりません(会社法748条、749条(吸収)、753条(新設))。法定事項は、合併条件(株式の割当比率[合併比率のこと]及び交付される対価の種類・総額等、存続会社又は新設会社の組織・体制(新設会社の定款・役員等、資本金・準備金の額に関する事項)及び、合併手続の進行時期です。
 なお、合併の各当事会社は、合併契約の内容と合併条件の相当性に関する事項等の法務省令事項を事前に開示し、株主および会社債権者の閲覧に供しなければなりません。事前開示は、株主にとっては合併条件の公正等を判断し総会への準備をするのに役立ちますし、会社債権者にとっては合併に対し異議を述べるかどうかの判断材料になります。

(3)
株主総会の合併承認決議
 合併は、会社の命運にかかわることなので、原則として株主総会の特別決議(議決に際して、議決権を行使できる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、その出席株主の議決権の3分の2以上にあたる賛成が必要とされる)が必要です(会社法783条1項、795条1項、804条1項、309条2項12号)。上記総会の招集通知には、合併契約の要領を記載しなければなりません。なお、合併承認決議に反対の株主には公正な価格での株式買取請求権が与えられています(同法785乃至788条、797・798条、806乃至809条)。なお、一定の場合には承認決議が不要とされています。(略式合併手続(同法784条1項本文)・簡易合併手続(同法796条3項))

(4)
債権者異議手続の履践
 合併に際しては債権者異議手続をとらなければならず(会社法789条、799条、810条)、合併の効力発生日より前に終了させなければなりません。ただし、一定の場合には個別の催告は不要とされます。

(5)
 株式会社が合併をしたときは、登記をしなければなりません(同法921条、922条)。吸収合併の効力は、合併契約で定めた効力発生日に生じますが、新設合併の効力は、新設会社の設立の登記による成立によって生じます。なお、効力発生後は遅滞なく法務省令事項を開示しなければなりません(同法801条、815条)

3.合併の無効
 以上に述べた合併の手続に瑕疵があれば合併の無効が問題になりますが、法的安定性を図るため、合併無効の訴え(会社法828条1項7号8号)によらなければ無効の主張はできません。
 なお、無効事由は法律上明記されていませんが、合併契約が作成されなかったときや合併承認決議に無効または取消事由があるとき、債権者異議手続きがなされなかったときなど、重大な手続違反が無効事由になると考えられています。

対応策

実務上は、手続の簡便さ及び登録免許税の節減等の関係で吸収合併の方法によるものが圧倒的に多いようです。あえてC社を設立して新設合併する必要はなく、X社がY社を、吸収合併すればよいでしょう。

予防策

合併については独禁法15条の規制(合併の制限、事前届出制)がありますので、忘れないように注意が必要です。また、スケジューリングをして秘密裡に話を進めなければ株価が高騰するなどして悪影響が生じます。事後に合併無効の訴えを提起されないよう、手続の懈怠には十分注意して下さい。

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