法律Q&A

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支払請求手続

弁護士 相川 泰男
1997年4月:掲載(再校正・村木 高志2008年3月)

延滞債務者に対する通知書、催告書、督促状に記載すべき事項及び送付の手続と意義とは。

当社はA社に対して多額の売掛金がありますが、何度督促してもA社は一向に支払ってくれません。そこで、書面で正式に請求したいと考えていますが、どのようなことを記載すればよいでしょうか。これによりどのような効果があるのでしょうか。

債務の発生原因と延滞金額を特定し、配達証明付きの内容証明郵便で送付します。

1.催告の意義と効果
 債権者が債務者に対して債務の履行を請求することを「催告」といい、これを記載した書面を一般に「催告書」といいます。このような催告書は、配達証明付きの内容証明郵便で相手方に送付するのが効果的です。
催告の法律上の効果としては、以下のとおり、時効の中断、相手方にとっての遅延損害金の支払義務の発生、契約解除権の発生などがあります。

(1)時効の中断
 A社に対する売掛金の消滅時効(通常は2年。民法173条1号参照)の満了が目前に差し迫っている場合には、時効中断の手続を取らなければなりませんが、催告にはひとまず時効中断の効力が与えられていますので、A社に催告をすることにより、その後6か月以内に裁判上の請求などの手続を取れば、消滅時効を中断することができます(民法153条)。

(2)遅延損害金の支払義務の発生
 A社に対する売掛金の支払期限が定められていれば、催告の有無にかかわらず、約定の支払時期が到来したときから遅延損害金の支払義務を負います。これに対して、支払期限が定められていない場合には、A社は催告を受けたときから履行遅滞となり、そのときから遅延損害金の支払義務を負うことになります。このように催告には、期限の定めのない債務について債務者を履行遅滞に付して遅延損害金の支払義務を発生させるという効果があります(民法412条3項)。

(3)契約解除権の発生
 A社に対する売掛金の回収が難しいときは、場合によっては支払を求めるよりもむしろ契約を解除して、商品が手元にある場合にはその引渡を拒否し、引渡済みである場合にはA社から取り戻したほうが得策であることもあります。契約を解除するためには、法律上、その前提として相手方に対して相当の期間を定めて債務の履行を催告しておくことが必要とされています(541条)。したがって、A社との売買契約を解除するためには、一定の期間(通常1~2週間程度)を定めて その期間内に債務を履行するよう催告し、それでもA社が期間内に債務を履行しなかった場合に契約を解除することができるのです。

対応策

1.催告書の記載事項
 催告書の記載事項については、法律上特に規定はありません。要するに、契約成立日時、契約内容など債務の発生原因や金額などを特定し、こちらがどの債務の履行を求めているのかがA社に認識できる程度の表示をした上で、その債務の履行を求めればよいのです。
 催告書の書き方で注意を要するのは、支払期限が到来している債権について、不用意に「平成何年何月何日までにお支払ください」と記載すると、その日まで支払を猶予したと解釈されかねませんので、この場合には、「既に支払期限を経過しているので、平成何年何月何日までに支払期限の翌日から支払日までの遅延損害金を添えてお支払ください」と記載すべきです。また、催告後契約を解除する場合には、これに続けて「前記期限までに支払のないときは売買契約を解除します」と記載すると、催告期限の経過とともに売買契約解除の効力が生じることになります。なお、末尾に「前記期限までに支払のないときは直ちに法的手段を取ることとなります」と書き添えて、回収への強い決意を示します。

2.内容証明郵便による送付の手続
 内容証明郵便は、郵便物である文書の内容と差出しの日付を、また、配達証明郵便は、その郵便が相手方に到達したこととその到達の日付を、それぞれ郵便局が証明する制度です。いずれも郵便局が証明してくれるため、非常に高い証拠価値が認められるのです。催告書をこの内容証明郵便で出すことにより、A社に対していつ支払の催告をしたのかの証拠を残すことができ、督促の強い決意をA社に示すことにより、心理的にA社の任意の支払を促すという効果があります。
 なお、一定の書式に合わないものは内容証明郵便として取り扱ってもらえないので、催告書を作成する際には、市販の内容証明郵便用の用紙を用いると便利です。また、現在は、電子内容証明郵便のサービスがあります。事前の登録手続きをしておけば、オンライン上から内容証明郵便を出すことができますので、こちらも便利です。

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