法律Q&A

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ゴルフ会員権と担保

弁護士 中村 博(ロア・ユナイテッド法律事務所)
1997年4月:掲載

ゴルフ会員権を担保に取れますか。その方法と手続を教えてください。

甲社では、乙社に金500万円を貸すにあたり乙社及びその社長Aの資産調査をしたところ、乙社にはめだった資産はないが、Aが大のゴルフずきで時価1000万円近くするとされる丙ゴルフクラブの会員権を所有していることが分かりました。甲社としてこの会員権を担保に出させることは出来ないものでしょうか。

通常は、譲渡担保権設定手続きにより、担保として要求することができます。

1.ゴルフ会員権の性格と担保
 ゴルフクラブの会員権には種々の性格のものがありますが、通常は株式会社によって経営されているゴルフ場が多く、株主会員制と預託会員制の会員権が一般に普及しています。株主会員制は、ゴルフクラブの会員の入会金をゴルフ場を経営する株式会社の株式払込金に充当し、会員はその会社の株式を取得し、株主になります。預託会員制は、ゴルフ場を経営する会社に会員が預託金(入会金・保証金)を預託し、一定期間据え置いた後、退会等の時に会員に返還されるもので、会員は会社に対し預託金返還請求権を持ちます。
 会員は、会社の株式を取得しまたは預託金債権をもつと同時にゴルフ場施設を優先的に利用する資格をもつことになり、このような会員の地位を「会員権」とよんでいます。この会員の地位は株式または預託金債権の譲渡ともに移転するので、これらの会員権は担保の目的となります。ただし、多くの場合は、会員としての地位を譲渡するには、クラブ(理事会)の承認を要するということになっています。
 なお、預託会員制の場合、会社が預託金を受領した時に官員に対し、「預託債権」とか「預かり証券」と称する預託金証書を交付しますが、この預託証券証書の法的性質は、預託証券がこの証書と一体化された有価証券とみるべきでなく、単なる証拠証券であると解されています。
2.担保取得方法
 ゴルフ会員権を担保として取得する方法としては、質権設定、代物弁済予約(または停止条件付き代物弁済契約)及び譲渡担保の3種類があります。ただし、一般的には譲渡担保が多く利用されていますので、ここでは、譲渡担保の設定方法につて述べることとします。
 譲渡担保による時は、債権者(譲受人)と取引先である会員(譲受人)との間でゴルフ会員権譲渡担保設定契約を締結します。これにより株主権または預託金返還請求権、ゴルフ場施設の優先的利用権、年会費納入等の義務を包括する会員としての地位が債権者に移転します。この会員権の譲渡に関して、会員規約に理事会の承認を要する旨の規定がある場合が多いのですが、実際には、会員が信用に傷がつくのを嫌うので、理事会の承認を得ないまま譲渡担保契約を行っています。この場合でも、会員権は譲渡の当事者間では有効に移転するものとされています。ただ、債権者(譲受人)は、理事会の承認がなければ、会社に対しては譲渡の効力を主張できないと解されています。

 譲渡担保取得に必要な書類は次の通りです。
【1】ゴルフ会員権譲渡担保契約書
【2】株券または預託金契約書
【3】会員の名義書換申請書、脱会届、印鑑証明書

 本来なら、会員権の譲渡に理事会の承認を要する場合には、会員権を譲渡担保にとり、はじめから債権者の名義に変えてしまい、債務者が債務を完済したらまた名義を戻すという方法を取れば担保としては完璧ですが、この場合、名義書換料を二重に負担することになりかねません。したがって、右の書類【3】については、譲渡担保取得に当たり、担保取得後名義書換の申請をすればいつでも理事会の承認が得られることを確認したうえで取りつけるようにすべきです。この場合、書類【1】において、会員権の名義書換は任意の時期にできること、名義書換料および換価処分までの年会費は設定者の負担とし、処分代金等から優先して控除できること、及び名義書換手続きに協力する義務があることなどを特約しておくとよいでしょう。

3.担保権の実行方法
 譲渡担保権を実行する場合は、会員権を第三者に売却し、担保取得時に取りつけた名義書換申請書、脱会届等をクラブに提出し買受人への名義書換を行います。売却代金は売掛代金等に充当し、超過分は返還します。
なお、ゴルフ会員権の価格評価については、ゴルフ場を経営する会社の資産内容と会員権の利用状況がその要因となっています。ゴルフ場は自社所有か、借地か、地形(丘陵・林間・河川敷)はどうか、地理的・気候的条件、施設・風景などはどうか、会員数が適当かどうか、及び会社の営業状態などの総合判断によります。ゴルフ会員権の売買相場というのがゴルフ雑誌などに出ていますから、会員権を担保にとる時、担保価値を評価する上で参考になります。但し、よほど良いゴルフクラブでないと売却しにくいことがあるようです。

対応策

以上のことから、甲社とすれば、Aに対してゴルフ会員権を担保に出すように要求できることになります。ただ、Aに提供義務があるわけではないし、心情的にもAの抵抗が予想されますので粘り強い交渉が必要でしょう。そして、甲社としては、たとえ担保に取れたとしても、担保権設定契約時に通常は必要とされる理事会の承認を得ていない場合が多いので、その点の不利益は覚悟しておく必要があります。

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