当社の大口取引先についての破産手続開始決定通知書と債権届け出用紙が裁判所から送付されてきました。どう対処すればよいでしょうか。
当社の大口取引先についての破産手続開始決定通知書と債権届出用紙が裁判所から送付されてきました。どう対処すればよいでしょうか。
届出用紙に所定の事項を記入し、早急に裁判所へ送付します。
- 1.
- 設問[6-2-1]で解説したように、破産者が債権者に対して配当の財源になるような財産を所有しているときには、裁判所は破産手続開始の決定と同時に破産管財人を選任します(破産法31条)。破産管財人は、大抵弁護士がなりますが、管財人は裁判所から選任された国家の機関として中立に任務を遂行します。
管財人の任務は、破産者の財産を処分して換価すること、債権者の債権を調査すること、債権者に対して破産者の財産を配当することにあります。
裁判所からの債権届出用紙は、管財人が債権者の数及び債権額を調査するために各債権者に送付されるものです。
管財人は、債権者からの届出書を元に債権を調査し、額について異議のあるものについては、関係人からの事情聴取、債権調査期日の開催、訴訟の提起などでその額を確定してゆきます。 そしてこれらの債権調査の状況や、財産換価の進行状況などは債権者集会の期日において破産管財人から報告がなされます。
そして、債権の調査が終了し、財産の換価が進行しますと、これらの債権者に対して配当が行われます。
配当は、破産手続の終了段階のみで行われるものや、終了まで時間がかかる事件では、ある程度の配当財源が確保できたところで中間配当という形で配当するときもあります。
- 2.
- このように破産管財人が就くような破産事件(これを破産手続開始の決定と同時には破産手続が終了しないので異時廃止事件といいます)は、破産手続開始の決定後の手続は債権者への配当のために行われるといっていいでしょう。
ですから、債権者の債権の届出は、この配当の準備として非常に重要なものでありますから、誤った記載などをすることのないように注意して下さい。
また、債権を届け出ないと配当手続から除外されてしまい、不利に扱われてしまうことがありますから必ず届出書を提出するようにしてください。
対応策
1.
債権届出書は各裁判所で書式が異なっています(また大型の特殊な事件では特別の債権届出用紙を用いることもあります)が、法律上で以下の事項等を届け出なければなりません(破産法111条)。
1 債権の額
2 債権の発生原因(例えば契約の種類と日時)
3 優先債権の有無(優先債権とは賃金債権(給料、退職金)が典型的なものです)
4 劣後債権の有無(劣後債権とは破産宣告後の利息や破産宣告後の不履行による遅延損害金をいいます)
5 別除権(抵当権や質権などをいいます。破産手続中でも別個に抵当権などは実行できるのでこの名があります。)の有無。別除権がある場合には、別除権から弁済を受けることのできない額を届け出ます。
6 破産者に対して訴訟を提起している者はその裁判の係属している裁判所や、裁判の事件番号
2.
それから、届出書の提出する際にはその債権を証明する書類(契約書、請求書、約束手形、納品書)の写しを添付することが義務づけられています。これらの裏付けがない債権については、管財人は債権として認定してくれません。
3.
また、届出書は提出期限が定められていますからこの期限内に裁判所に届くようにしてください。
(C)2002 Makoto Iwade,Japan