取引先が破産した場合に、連鎖倒産を回避するための制度があると聞きましたが、どのような制度なのですか。
県下第1位の建設機械のリース会社が裁判所に民事再生の申立をして事実上倒産しましたが、当社の大口取引先で、このままだと当社も連鎖倒産のおそれがあります。低利の融資など受ける余地はないのですか。
まず取引先の倒産を証明する書類を用意します。
- 1.
- 取引先の倒産は多くの会社にとっては突然の出来事であり、取引先への債権額のいかんによっては、その債権焦げつきが原因で資金ショートを起こし、会社が連鎖倒産するおそれがあります。
このような万が一の場合に債権の焦げついた会社に融資を行って、連鎖倒産を防止する制度があります。
以下に、そのような融資を行っている団体を紹介します。
- 2.中小企業事業団の中小企業倒産防止共済
- この共済制度は、取引先事業者の倒産の影響を受けて中小企業者が倒産する事態(連鎖倒産)又は倒産に至らないまでも著しい経営困難に陥る事態の発生を防止するため、中小企業社の相互扶助の精神に基づいて、中小企業者の拠出による共済制度を確立することによって、中小企業の経営の安定に寄与することを目的としています。
この制度に加入できる者は、一定の従業員、資本金を有した一定の業種に該当する会社又は個人の中小企業者です(詳細は下記の団体にお尋ねください)。
そして、この制度に加入してから6か月以上を経過した後に取引先の事業者が破産、民事再生、会社更生手続開始、整理開始、特別清算開始の申立がなされ、あるいは銀行取引停止処分を受けたときに貸付を受けられます。
貸付額は、回収が困難となった売掛金債権等の額と掛金総額の10倍に相当する額でいずれか少ない額の範囲内で、最高3200万円です。
貸付金は無担保、無保証人、無利子で、返済期限は5年となっています。
- 3.
- この制度の詳細については、直接中小企業事業団まで問い合わせてみてください。
(連絡先) 中小企業基盤整備機構 (住所) 東京都港区虎ノ門3ー5ー1 虎ノ門第37森ビル (電話番号) 050-5541-7171 (URL) http://www.smrj.go.jp/
- 4.
- また、各地方公共団体(区市町村)の役所、役場の商工課等の企業担当の部署においても中小企業に対して融資の斡旋をする制度があります。
具体的な内容については各地方公共団体によって若干異なるようですが、連鎖倒産の回避を目的とする融資に限定せず、広く運転資金の融通を行うようです。
融資の内容も、元本の貸付を行うものから、銀行からの融資金の利息の一部を肩代わりする制度などがあります。
融資の対象となる企業も、資本金や従業員数で制限を設けているところが多いようです。
詳細については直接各地方公共団体へお尋ねください。
対応策
中小企業倒産防止共済による貸付けの条件は、取引先が破産等の法的手続を採ったこと、または、銀行取引停止処分を受けたときですから、このような状況に取引先があることを証明する書類を準備する必要があります。
例えば、通常、会社が倒産の法的手続を採った場合には、その代理人弁護士から債権者に対して、法的手続の申立をしたことを通知する書面が郵送されますので、それが倒産の法的手続の申立の証明になると思います。
予防策
中小企業倒産防止共済の貸付けを受けるためには、6か月前から共済の組合員であることが必要でありますから、取引先の信用不安や倒産のおそれを察知してからこの貸付けを受けようとして、共済に加入しても加入してから6か月以内に取引先が倒産してしまうと、全く貸付けが受けられないといったことになります。
ですから、この貸付けを受けるためには早めに、共済に加入しておくことが必要です。
(C)2002 Makoto Iwade,Japan