法律Q&A

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PL責任回避のための警告・説明表示

弁護士 近藤 義徳
1997年4月:掲載

使用方法に注意をしないと危険な商品の販売に当たってPL責任回避のための警告・説明表示上の注意点は何ですか?

当社の製品には、使用法に注意しないと使用者がけがをする危険のあるものや、製品が破損する危険のあるものがあります。これらの製品にはどのような警告・説明表示をしたらよいのでしょうか。100頁の取扱説明書に、細かく場合分けして警告・説明表示を盛り込みましたがこれでうんと言えるでしょうか。絵や記号なども活用すべきでしょうか。参考とするガイドラインがあったら教えてください。

簡単、明瞭、直接的に表記し、一見して分かりやすいものにする必要があります。

1.警告・説明表示の意義
(1)必要性
 製品に設計上の欠陥や製造上の欠陥がなくても、消費者がその使用方法や危険性を正しく理解しないと思わぬ損害を被ることがあります。メーカーが製品の危険性に関する情報を正しく提供しないことは、その製品が「通常有すべき安全性を有しない」ことになり、製品の欠陥(指示・警告上の欠陥)となります。

(2)重要性
 設計上の欠陥、製造上の欠陥は、専門知識がないと発見が困難ですが、指示・警告は消費者に向けられたものですから、消費者が欠陥の判断をするのが容易で、クレームに結びつきやすいと言えるでしょう。
 このことは、製品が部品・原材料であっても同様です。部品メーカーは、消費者から直接損害賠償を請求される事は稀だとしても、請求を受けた完成品メーカーから求償されることがあり、完成品メーカーの指示・警告に欠陥があるため従業員が損害を受けた場合はPL責任が問題となるからです。したがって、警告・説明表示は製品の一部であると考えて、的確な表示を行うよう万全を期すべきでしょう。

2.警告・説明表示のあり方
 警告・説明表示の欠陥の有無も、【1】製品の特性、【2】その製品の通常予想される使用形態、【3】メーカーが製品を引き渡した時期、【4】その他、製品に係る事情を考慮して、判断されます(製造物責任法2条参照)。
 PL法は、その具体的な指針までは規定していませんが、通産省の表示、取扱説明書適正化委員会が平成6年10月に発表した「消費生活用品の取扱説明書の あり方」や、平成7年2月に発表した「消費生活用品の警告表示のあり方」がガイドラインとして参考になるでしょう。
3.警告・説明表示の実際
(1)危険の想定
 警告・説明表示の内容を決定するには、製品からどの様な危険が生じ得るかを具体的に想定し、誰に対して、どの範囲で、どの程度の警告・説明表示を行うかを検討しなければなりません。
 警告・説明表示の対象は、被害を受ける蓋然性の高い者であり、重大な危険が想定されれば、およそ被害を受ける可能性のある者も含まれると思われます。したがって、製品の購買層、使用者層に限らず、その家族等をも対象とすべき場合があり得ます。
 範囲に付いては、通常の使用形態の場合に加えて、他の目的に使用される可能性があれば、そのような場合も含めるべきでしょう。「通常でない使用」に対して警告を不要とする見解もありますが、一概に除外するのは適当でなく、危険の生じる蓋然性の程度によって判断すべきと思われます。
 以上の検討を踏まえて、【1】危険性の程度、【2】警告違反の結果、【3】危険除去の方法についての情報を盛り込むことが必要です。

(2)警告・説明表示の表示上の工夫
 警告・説明表示は、目につきやすく、わかりやすいものでなければなりません。
 消費者の目を引くためには、【1】記号や絵表示を利用すること、【2】大きな文字を使用すること、【3】レイアウトを工夫すること、【4】配色を工夫することを検討すべきでしょう。
また、消費者にわかりやすいものにするためには、【1】文章中に、必要に応じて外国語も併記すること、【2】必要に応じてひらがなを用いること、【3】短く簡潔にすること等の工夫が必要です。
 この点、前記「消費生活用品の取扱説明書のあり方」では、取扱説明書の文章は、能動態を使う、明確に断言する、書きすぎない、曖昧な表現を避ける、使用者側にたった表現をする等とされており、前記「消費生活用品の警告表示のあり方」では、想定される危険における被害の程度と警告の緊急性について「危険」、「警告」、「注意」のシグナルワードを用いて警告表示に付記するものとされています。
 なお、警告ラベルを製品自体に貼付または印字するときは、危険箇所の近くでかつ消費者の目に止まりやすく、危険を回避できるような場所にすべきです。
 ところで、せっかく警告・説明表示をしても、すぐに消えてしまったのでは、何にもなりません。少なくとも製品が使用される期間中は警告・説明表示が消えな いようにすべきです。長期間の使用を予定している製品であれば、製品を引き渡したときから10年間は表示が持続するようにしておくことが無難です。

対応策

  警告・説明表示は、製品の重要な一部です。消費者側にたって分かりやすく表示することが必要です。したがって、一見して危険の度合いや危険な行為が読みとれるものである必要があります。
 また、過剰な警告・説明表示はかえって本質的な危険に対する注意を弱めますから、弁護士等の専門家の意見を聞きながら策定するようにしたいものです。

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