法律Q&A

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部品メーカーのPL責任

弁護士 近藤 義徳
1997年4月:掲載

部品メーカーのPL責任はどんな場合に生じ、どんな場合に免除されるのか?

当社は、部品メーカーですが、納品する先の完成品メーカーが設計に関して指示してきました。その指示に従って部品を作った場合でも、PL責任を問われるのでしょうか。

完成品メーカーの設計に関する指示に従ったこと、過失がないことを主張立証すれば免責されます。

1.部品メーカーのPL責任
 PL責任は、製造物に欠陥があることに着目して損害賠償責任を認めるものですから、部品メーカーも完成品メーカーと同様に、[1]部品・原材料(以下「部品等」と言います。)自体に欠陥が存在し、[2]拡大損害が発生すれば、損害賠償責任を負うのが原則です(製造物責任法3条)。
2.部品メーカーの免責
 しかし、部品メーカーは、完成品メーカーの指示に従わなければならないことが多く、そのために部品に欠陥が生じる場合もあり得ます。そのような場合にまで、部品メーカーのPL責任を問うことは、酷であるため、PL法は、「当該製造物が、他の製造物の部品または原材料として使用された場合において、その欠陥が専ら当該他の製造物の製造業者が行った設計に関する指示に従ったことにより生じ、かつ、その欠陥が生じたことにつき過失がないこと。」を証明したときは部品等の製造業者がPL責任を負わないと定めました(同法4条2号)。
3.免責されるための要件
(1)その製品が、他の製造物の部品または原材料として使用された場合であること。
 部品、原材料であるか否かは、部品、原材料として「取り引き」されたか否かではなく、実際に部品、原材料として「使用」されたか否かによって判断されます。なお、不動産は、同法の製造物には当たらないため(同法2条1項)、建物の部品メーカーには、本条の免責の規定は適用されないことに注意して下さい。

(2)欠陥が完成品メーカーの「設計に関する指示」より生じたこと。
 ここで言う「指示」は、設計自体を指定する内容など、部品等の設計を具体的に拘束するものであることが必要です。指示の方法については限定がありませ ん。設計図自体を示す場合や、特定の構造を指定すること等製造物の特性に応じて様々な指示があり得るからです。

(3)欠陥が「専ら」設計に関する指示によって生じたこと。
 完成品メーカーの設計に関する指示が、欠陥の原因のすべてである必要はありませんが、欠陥の主要な原因をなしていることが必要です。したがって、欠陥の原因が完成品メーカーの「指示」以外にもある場合は、欠陥に寄与した割合も考慮されることになるでしょう。

(4)欠陥が生じたことにつき部品メーカーに過失がないこと。
 設計に関する指示によって欠陥が生じたとしても、部品メーカーに過失がある場合は、免責が認められません。たとえば、指示に従えば欠陥が生じることを予見できたにも関わらず指示に従った場合や、欠陥を回避する事ができたのにこれをしなかった場合等には、部品等メ-カーも責任を負うことになります。

 過失の存否については、製造業者の契約上の地位、製造物に関する技術的水準、製造の際の状況等を総合して判断され、過失がなかったことは、部品メーカー側が立証する必要があります。

対応策

 部品メーカーとしては、部品の受発注があった場合に、完成品メーカーとのやり取りを書面により行うこととして、その保管に努めるべきです。特に完成品メーカーからの部品の設計に関する指示が記載された文書は大事に保存しておくことが必要です。
 また、完成品メーカーの指示にしたがったのでは、欠陥が生じると思われる場合は、その旨発注者に対して文書で連絡し、その記録も保管しておくことが無過失の立証に役立ちます。
 完成品メーカーが、設計に関する指示を口頭で行って部品メーカーに設計書を作成して提出するように求める例もあるようですが、その場合でも実質的な指示があったことを何らかの方法で立証できるように証拠化しておくことも有効でしょう。

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