法律Q&A

分類:

社員会や親睦会の従業員代表の適格性

弁護士 岩出 誠(ロア・ユナイテッド法律事務所)
2007年1月補正:掲載

社員会や親睦会は、36協定などの過半数代表機能を持つことができますか?

A社には従業員だけで組織された親睦会や社長も加入している社員会などの従業員会的組織があります。しかし、事業場の労働者の過半数を組織する労働組合はありません。そこで、これらの社員会や親睦会は、36協定などの過半数代表機能を持つことができますか。

回答ポイント

 真に、労基則6条の2の要件を満たす民主的な従業員組織であれば、過半数代表機能を持つことができるものと解されます。しかし、社長も加入している社員会では、それが、労基法38条の4の労使委員会の要件を満たすものでなければ過半数代表機能を持つことはできないでしょう。
解説
1 労働者過半数代表者選出方法への規制
 今まで、通達で指導していた労働者過半数代表者選出方法への規制が、平成10年の労基法改正に際し、施行規則で明文化されました。即ち、労働基準法に規定されている労働者の過半数を代表する者は、次のいずれにも該当する者でなければなりません(労基法施行規則6条の2、労働時間等設定改善則1条等)。

1)改正労基法第41条第2号に規定する監督又は管理の地位にある者でないこと。
2)労使協定の締結等をする者を選出することを明らかにして実施される投票、挙手等の方法による手続により選出された者であること。  また、使用者は、労働者が過半数代表者であること、過半数代表者になろうとしたこと、過半数代表者として正当な行為をしたことを理由として不利益な取扱いをしないようにしなければなりません。

ここで、「過半数代表者として正当な行為」には、法に基づく労使協定の締結の拒否、1年単位の変形労働時間制の労働日ごとの労働時間についての不同意も含まれます(平11.1.29基発45号)。

2 組合のない企業に多い従業員会
 ところで、労働組合がないところでも、質問のように、社員会とか親睦会などの従業員会 (組織)があるところは多いでしょう。これらは法律で定められたものではありませんから、その内容は会社ごとに多少違うかもしれませんが、社員会は社員全体の交流組織で(したがって、社長や重役も入っているのが多いようです)、親睦会は従業員相互の親睦を深める組織(したがって、多くの場合は従業員だけの組織)です。必要を感じたときに、会社がこれらの組織の意見を聞いたり、相談したりすることはよくあります。これは別段おかしなことではありません(以上につき東京都労働経済局HP参照)。
3 従業員会の機能-過半数代表者機能の可否
 ですから、自動的に選任されるようなやりかたでなく(このような選出方法による代表に書面協定等の過半数代表者の地位を否定し、同代表者による36協定を無効としたトーコロ事件・東京高判平成9・11・17労判729-44、同判決を維持した最二小判平成13・6・22労判808-11)、労基法、育児・介護休業法等の労働者過半数代表者となることを明示して、前述の労基則6条の2に従って、正規の民主的な手続による選び方をしていて、親睦会の代表が過半数代表に選出されたというときは、適法な代表として問題ないと解されます。問題があるのは、社員会とか親睦会があるために、あるいはこれらと協議してきた慣行があるために、労働組合の結成を認めないとか、交渉を拒否するということです。社員会とか親睦会は労働組合の代替物にはなりえませんから、やはりこういう行為は不当労働行為(団交拒否)になります(以上につき東京都労働経済局HP参照)。
企業の対応策
 そこで、例えば、従業員会などにおいて、次のような選挙管理委員会を設けて代表者を選出する方法もあります(以下の詳細・書式については拙著「改正労働法への対応と就業規則改訂の実務」(ぎょうせい)150頁以下参照)。
a. 選挙管理委員会の発足通知書式例

平成  年 月 日
本社・東京本店所属
社 員 各 位
労働者代表選出ならびに選挙管理委員会発足の件
就業規則等の変更に際して、労働者代表の意見を聴いた上で労働基準監督署に届出いたします。
ついては、就業規則等の改正に伴い、「労働者代表」を選出することとなりました。労働者代表の任務等については別紙のとおりです。
なお、今般、規程により選挙管理委員会を発足し、下記のとおり委員を任命いたしましたので、お知らせいたします。

1 本社、東京本店労働者代表選出選挙管理委員会
委員長
副委員長
委員
※ 選出要領等につきましては、別紙選挙管理委員会からのお知らせのとおりです。

以 上

別紙 労働者代表の任務
○株式会社 本社、東京本店労働者
1 本労働者代表は、所定の要頗により自ら立侯補し、当社の本社、東京本店労働者代表選出選挙管理委員会が運営、実施する選挙により選出された者とする。
但し、本労働者代表は労働基準法第41条第2号に規定する監督又は管理の地位にある者ではないものとする。代表の被選挙者)
2 本労働者代表は・当社の本社、東京本店における労働基準法第24粂、32条、34条、36条、38条、39条及び第90条、育児・介護休業法6条1項、12条2項等の定める全ての、労働者の過半数代表としての権限を有する。
3 本労働者代表は、会社が就業規則等を作成、変更を行うに際し、その内容の説明をうけ、東京本店における労働者の過半数代表として意見を表明することができる。
4 本労働者代表は、会社が労働基準法に定める過半数代表として意見を必要とする場合ならびに書面協定を求める場合には、会社の求めにより意見を書面により表明しなければならない。
5 労働者代表の任期は4月1日より翌年3月31日までの1年とする。
6 任期期間において会社又は従業員が不適当と認める場合には、従業員の3分の1の署名をもって選任に準じた手続きにより信任をはかることができる。
7 本規程は平成 年 月 日より施行する。

 

b. 労働者代表選挙の公示書式例

本社・東京本店所属

社 員 各 位
○株式会社

本社、東京本店
労働者代表選出選挙管理委員会
本社、東京本店労働者代表選出等の件
下記要領より○○株式会社、本社、東京本店における労働基準法及び育児・介護休業法等関連法規に基づく労働者の過半数代表者を選出いたします。

1.任 期  平成 年 月 日より 平成 年 月 日まで

2.立候補届出
(1)立候補有資格者
労働基準法第41条第2号に規定する監督又は管理の地位にある者ではないもの
(2)届出受付期間 平成 年 月 日( )10時より 同年 月 日( ) 時まで
(3)届出方法
「立候補届」(様式指定)に所定の事項を記載し、本選挙管理委員会事務局へ届出ください。

3.選挙期間
(1)立候補者の掲出 平成 年 月 日( ) 時より 同年 月 日( ) 時まで
(2)投票 平成 年 月 日( )時より 同年 月 日( ) 時まで
(3)投票用紙 各社員あて手交または郵送いたします。
(4)投票場所および投票方法
本社 階会議室前設置投票箱へ投票用紙を投入ください
(5)開票 平成 年 月 日( )
(6)開票結果の周知 平成 年 月 日( )
(7)なお、立候補者が1名の場合は、投票は実施せず同立候補者をもって代表者として遷出されることとなります.

以 上

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