法律Q&A

分類:

派遣元・派遣先指針の平成21年改正点について

回答者(弁護士 岩野高明・ロア・ユナイテッド法律事務所)
2010年10月掲載

平成21年3月に派遣元・派遣先指針が改正されたとのことですが、改正点を教えて下さい。

派遣元・派遣先間の労働者派遣契約が期間満了前に解約された場合につき、派遣労働者の保護を強化する内容の派遣元・派遣先の講ずべき措置が新たに明記されました。

解説
 平成20年秋以降の景気後退が深まるにつれ、派遣元・派遣先間の労働者派遣契約の中途解約に伴う派遣労働者の解雇・雇止めが、「派遣切り」として社会問題となりました。このような状況下で、派遣契約が中途解約された場合の派遣労働者の雇用確保の必要性が強く認識されたこともあり、厚生労働省は、平成21年3月31日付で「派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針」(平成11年労働省告示第137号。以下「派遣元指針」)及び「派遣先が講ずべき措置に関する指針」(平成11年労働省告示第138号。以下「派遣先指針」)を改正しました。
 具体的な改正点は、以下の通りです(下線部が改正による変更点です。)。
①派遣元指針の改正点
ア.まず、派遣元事業主は、派遣労働者の責めに帰すべき事由によらずに派遣先との派遣契約が中途解約された場合には、派遣先と連携して、派遣先の関連会社での終業のあっせんを受けたり、派遣元自ら他の派遣先を確保したりするなどして、派遣労働者の新たな就業機会の確保を図ることが必要です。そして、新たな派遣先が見つからない場合には、派遣労働者を休業させ、休業手当を支払わなければなりません。
イ.また、派遣元事業主は、派遣先との間で新たに労働者派遣契約を締結する際、派遣先の責めに帰すべき事由により派遣契約が中途解約された場合の派遣先の責任(具体的には、派遣労働者の就業機会の確保を図り、これができない場合には、派遣元に対して休業手当等の相当額以上の損害賠償金を支払う責任等)につき定めなければなりません。

②派遣先指針の改正点
まず、派遣元との間で労働者派遣契約を締結する際、前記①イ.につき定めることが必要です。そして、実際に自己の責めに帰すべき事由により派遣契約を中途解約する場合には、派遣労働者の新たな就業機会の確保を図るとともに、契約の定めに従い損害賠償金を支払う必要があります(ただし、同契約条項がない場合であっても、同様に損害賠償義務は発生します。)。

 以上の通り、改正指針では、派遣契約の中途解約を理由として、派遣元が安易に「派遣切り」をすることを禁じるとともに、派遣元・派遣先の双方に対し、派遣労働者の就業機会の確保に努めるよう要請しています。
なお、期間の定めのある労働契約においては、「やむを得ない事由がある場合」でなければ、期間満了前に労働者を解雇することはできないとされており(労働契約法第17条1項)、今回の各指針改正後の裁判例においても、単に派遣契約が解約されたことは、上記「やむを得ない事由」に当たらないとされています(例えば、ワークプライズ(仮処分)事件(福井地判平成21・7・23労判984号88頁))。また、これより前から、厚労省HP掲載の平成21・3・31基発0331010号「派遣労働者に係る労働条件及び安全衛生の確保について」でも、「有期労働契約により派遣労働者を使用する場合には、やむを得ない事由がある場合でなければ、契約期間中に解雇することができないこと。派遣元の使用者は、派遣先との間の労働者派遣契約が中途解除された場合でも、そのことが直ちに『やむを得ない事由』に該当するものではないことに留意すること。」が明示され、同省の事業主用「派遣会社の事業所の皆様へ」においては、「解雇が無効とされた場合には、派遣会社は、解雇後の期間についても賃金の支払い等を行う必要があります。」とされていることに留意下さい。

関連タグ

身近にあるさまざまな問題を法令と判例・裁判例に基づいてをQ&A形式でわかりやすく配信!

キーワードで探す
クイック検索
カテゴリーで探す
新規ご相談予約専用ダイヤル
0120-68-3118
ご相談予約 メルマガ登録はこちら