法律Q&A

分類:

専従者変更に関する支配介入

弁護士 岩出 誠(ロア・ユナイテッド法律事務所)
2001年5月:掲載

会社が専従組合員の変更を指示するのは不当労働行為か

私どもの労働組合には、専従の組合員が2人います。最近、会社側から、「そろそろ別の人に替えたほうがよいのではないか」と言われました。このような発言は不当労働行為に当たるのでないでしょうか。

一般的には、専従組合員の選任などの組合内部問題に干渉する会社の発言は支配介入とされやすいと言えます。しかし、専従制度は、法律的に定められた制度ではなく、各企業の専従者に関する労働協約や労使慣行等(以下、専従協約等という)により定められる関係から、専従協約等によっては、会社側が、組合への支配介入の意思によるのではなく、労働者のジョブ・ローテーション、キャリア形成等の関係や、専従協約等の適用につき、意見を表明するころが直ちに違法とされないこともあり得ます。しかし、そのような必然性もなく、組合に対して専従者の変更を主張し、組合の動揺を狙って、不利益処分を含めた恫喝的・威嚇的な発言をすることなどは支配介入の非難を免れないことは当然です。

1.使用者の意見表明と支配介入 
 一般的に、使用者側の言論の自由とそれへの支配介入による一定の制約については、学説や判例が色々な基準を呈示していますが、判例・労働委員会の命令例全体では、必ずしも一貫はしていないようです。最大公約数的に言えば、使用者の意見表明と支配介入発言の内容、それがなされた状況、それが組合の運営や活動に与えた影響、推認される使用者の意図などを総合して支配介入の成否が判断されることになります(西神テトラパック事件・東京高判平成11.12.22 労判779.47等参照)。
2.具体例の紹介 
 (1)単なる意見表明 例えば、単なる意見表明(賃金の考え方、賃金相場の呈示、ストの中止の要請)に止まるものは問題ないとされています(日本液体運輸事件・中労委昭57.6.2命令集71集636頁)。

 (2)組合内部問題等への干渉 しかし、組合内部問題に干渉する発言や文書配布は支配介入とされやすい傾向にあります。例えば、社内報による執拗な組合の運動方針批判等(西神テトラパック事件・東京高判平成11.12.22・前掲等)、社長らによる上部団体加入先に関する干渉発言等(山岡内燃機事件・最判昭 29.5.28民集8巻5号990頁等)も支配介入とされやすい態様です。

3.専従組合委員制度の問題 
 しかし、そもそも、一定の者に、一定の期間、労働契約上の労働義務を免除し(多くの場合、休職扱い)、労働組合活動に専念させる、いわゆる専従制度自体は、法律的に定められた制度でも、法律上その成立・運用につき保障された制度でもなく、前述の専従協約等により定められるものです。逆に、専従者に会社が給与を支払うことは、労働組合法上、違法な経費援助として支配介入に当たるものとされています(労組法2条3号、7条3号)。そのような関係から、各企業の専従制度によっては、会社側が、組合への支配介入の意思によるのではなく、通常の労働者のジョブ・ローテーション、キャリア形成等の関係や、一定の労働者に一定の期間のみ専従を認めている専従協約等の適用につき、組合側にその運用につき抵触がある場合などに、会社が、専従者の交替につき意見を表明することが直ちに違法とされないこともあり得ます。
 しかし、そのような必然性や合理的な根拠もなく、前述のように、ことさらに、組合の動揺を狙って、組合に対して専従者の変更を主張することなどは支配介入の非難を免れないことは当然です。

身近にあるさまざまな問題を法令と判例・裁判例に基づいてをQ&A形式でわかりやすく配信!

キーワードで探す
クイック検索
カテゴリーで探す
新規ご相談・予約専用ダイヤル
0120-68-3118
ご相談予約 メルマガ登録はこちら