法律Q&A

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遺言書の書き方

弁護士 船橋 茂紀
1997年4月:掲載(校正・大濱 正裕 2007年12月)

遺言書を書くにはどうすればよいのですか。

遺言書を書きたいのですが、私の生きている間につまらない争いをおこしたくないので、遺言書を書いたことを誰にも知られたくありません。遺言書の書き方について教えて下さい。

普通方式の遺言には、自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言の三種類があります。解説

1.概要
 遺言は、民法の定める一定の決まりに従ってしなければ無効になってしまいます(民法960条)。
2.遺言の方式
(1)
 民法が定める遺言の方式には、大別して、普通方式の遺言と特別方式の遺言とがあります。普通方式の遺言には、「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」と「秘密証書遺言」の3種類があり、特別方式の遺言には、「一般危急時遺言」と「難船危急時遺言」と「伝染病隔離者遺言」と「在船者遺言」とがあります(一般危急時遺言と難船危急時遺言とを「危急時遺言」と言い、伝染病隔離者遺言と在船者遺言とを「隔絶地遺言」と言います)。

(2)
 異なる方式の遺言の間に効力についての優劣はありません。遺言者は、一度作成した遺言をいつでも遺言の方式に従って、遺言の全部または一部を取消すことができます(民法1022条)。そして、前の遺言と後の遺言とが抵触する場合については、後の遺言で前の遺言を取り消したものとみなされます(民法1023条)。

(3)
 自筆証書遺言は、遺言者がその全文・日付及び氏名を自署し、これに捺印して作成し、加除その他の変更は、遺言者がその場所を指示し、これを変更した旨を附記して特にこれに署名し、且つ、その変更の場所に印を押して行います(民法968条)。自筆証書遺言の保管者は、相続の開始を知った後、遅滞なく、これを家庭裁判所に提出して、検認を請求しなければならないことになっています(民法1004条第1項)。検認をしなかったとしても、直ちに遺言が無効となるわけではありませんが、後に相続人から偽造の遺言書であるとの主張がされやすくなるので注意が必要です。また、自筆証書遺言の注意点としては、「全文」についての「手書き」が必要ですので、ワープロやパソコンで作成することはできません。

(4)
 公正証書遺言は、証人2人以上の立ち合いのもと、遺言の趣旨を公証人に口授し、公証人が遺言者の口述を筆記してこれを遺言者及び立会人に読み聞かせ、筆記が正確なことを承認した遺言者及び立会人が署名・捺印し、公証人がかかる方式に従って作成した旨を附記して、署名・捺印して作成します(民法969条)。遺言者が署名することができない時は、公証人がその事由を附記して、署名に代えることができます。この公正証書遺言の場合は、家庭裁判所での検認手続は不要です。なお、未成年者、推定相続人・受遺者及びその配偶者並びに直系血族、公証人の配偶者・四親等内の家族・書記及び雇人は、遺言の証人にはなれません(民法974条)。

(5)
 秘密証書遺言は、遺言者が、その証書に署名・捺印してその証書を封じて証書に用いた印章で封印をし、公証人及び証人2人以上の前に封書を提出して、自己の遺言である旨並びにその筆者の氏名および住所を申述し、公証人がその証書を提出した日付及び遺言者の申述を封紙に記載した後、遺言者及び証人とともにこれに署名・捺印して作成します(民法970条)。加除その他の変更の方式は、自筆証書遺言の方式と同様です。言語を発することができない遺言者は、公証人及び証人の前で、その証書が自己の遺言である旨並びにその筆者の氏名及び住所を封紙に自署して、申述の記載に代えることで秘密証書遺言を作成することができます(民法970条第2項・968条第2項)。

(6)
 疾病その他の事由が死亡の危急に迫っている者は、証人3人以上の立会いを得て、証人の1人に対し、遺言の趣旨を口授することができ、口授を受けた証人はこれを筆記し、これを遺言者と他の証人に読み聞かせ、各証人がその筆記の正確なことを承認した後、各証人が署名捺印すれば遺言が成立します(民法976条1項)。この遺言は、遺言成立後20日以内に証人の1人又は利害関係人から家庭裁判所に請求してその確認を得なければ効力を生じません(同条4項)。これを「一般危急時遺言」と言います。船舶遭難の場合において、船舶中にあって死亡の危急に切った者は、証人2人以上の立会いがあれば、口頭で遺言をすることができます(民法979条1項)。この遺言は、証人がその趣旨を筆記してこれに署名捺印し、且つ証人の1人又は利害関係人から遅滞なく家庭裁判所に請求してその確認を得なければ効力を生じません(同条3項)。これを「難船危急時遺言」と言います。伝染病のため行政処分によって交通を断たれた場所にある者は、警察官1人及び証人1人以上の立会いを得て、遺言書を作ることができます(民法977条)。これを「伝染病隔離者遺言」と言います。船舶中にある者は、船長又は事務員1人および証人2人以上の立会いを得て遺言書を作ることができます(民法978条)。これを「在船者遺言」と言います。

3.留意点
(1)
 満15歳に達した者は遺言をすることができます(民法961条)。未成年者や成年被後見人でも遺言をするときに意思能力があれば遺言をすることができます。但し、成年被後見人が事理を弁識する能力を一時回復した本心時において遺言をするには医師2人以上の立合いが必要です(民法973条)。

(2)
 公正証書以外の遺言書の保管者は、相続の開始を知った後、遅滞なくこれを家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければなりません。検認は、遺言書の形式・内容を確認する手続で、遺言書内容の真偽や有効無効を確定させる手続ではありません。封印のある遺言書は、家庭裁判所で相続人又はその代理人の立ち合いをもって開封しなければなりません。検認の必要がある遺言書においては、検認の手続と一緒に開封もなされます。

(3)
 法定相続人に対して遺産をやろうとする場合には、所有権移転登記手続に要する登録免許税を節約できること、単独で登記手続ができること、及び、農地の場合でも農地法3条の知事の許可が不要であることから、「遺贈する」と記載するよりも「相続させる」と記載させる方が有利です。

対応策

遺言書は、遺言者1人について1通を作成しなければなりません(民法975条)。夫婦で遺言書を作成する場合には、夫と妻とでそれぞれ別々の遺言書を作成しなければならないのです。遺言書の作成に当たっては、後から変造されないように「壱、弐、参・・・」と多画漢数字を使用し、土地や建物などの不動産については登記手続を円滑にするため住居表示上の住所ではなく不動産登記簿を参照して記載しましょう。日付は、「4月吉日」ではなく、特定できるように「4月1日」等と具体的に記載して下さい。自筆証書遺言においては代筆は認められません。捺印には実印を使用するのが無難です。遺言書が複数枚にわたる場合には契印をして下さい。不明確な文言は、後日の紛争を招きます。その他、遺言には、本文で記載されたように厳格性が要求されますので、作成に際しては、専門家に相談した方が良いと思います。

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