法律Q&A

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同一労働同一賃金におけるパート労働者への説明義務について

弁護士 石居 茜(ロア・ユナイテッド法律事務所)
2020年2月掲載

同一労働同一賃金の法律改正が行われたと聞きました。パートさんから正社員との待遇の違いについて説明を求められた場合、どのような点に留意すればよいでしょうか?

「職務内容」「職務内容・配置の変更の範囲」の観点から違いと待遇差の理由を説明することが大切です。

【 解説 】
1 均等待遇・均衡待遇

 従来のパートタイム労働法では、1週間の所定労働時間が正社員と比べて短い従業員(以下、「パート」といいます。)のみに適用され、フルタイムではあるが、有期契約である有期雇用従業員(以下、「有期雇用従業員」といいます。)には適用されていませんでした。
 平成30年の働き方改革法関連の改正に伴い、パートタイム労働法は、パートタイム有期雇用労働法に改められ、パートだけでなく、有期雇用従業員にも適用されることになりました。
 同法では、パート・有期雇用従業員であっても、正社員と①職務の内容、②職務内容・配置の変更範囲が同じである者については、賃金等その待遇について差別的取扱いをすることが禁じられています(均等待遇 パートタイム有期雇用労働法9条)。
 また、同法では、パート・有期雇用従業員の基本給、賞与その他の個々の待遇について、①職務内容、②職務内容・配置の変更範囲、③その他の事情の正社員との相違を考慮し、不合理な待遇差別が禁じられています(均衡待遇 パートタイム有期雇用労働法8条)。
 「職務内容」とは、「業務の内容」と「責任の程度」をいうとされており、例えば、同じ業務であっても、正社員には業績目標があるがパート・有期雇用従業員にはない場合、正社員は繁忙期の急な出勤にも対応しなければならないが、パート・有期雇用従業員にはそのような対応は必要がない場合は、「責任の程度」が異なることになります。
 不合理な差別かどうかは、個々の待遇(基本給、賞与、役職手当、食事手当、福利厚生、教育訓練など)ごとに、その待遇の性質・目的に照らして適切と認められる事情を考慮して判断すべきとされています。
 厚生労働省は、正社員と有期雇用社員との待遇差について判断した最高裁判例(ハマキョウレックス(差戻審)事件・最高裁二小平成30年6月1日判決・労判1179号20頁、長澤運輸事件・最高裁二小平成30年6月1日判決・労判1179号34頁)の判断を踏まえ、「短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者に対する不合理な待遇の禁止等に関する指針」を策定し、個々の待遇ごとにどのような取扱いが問題となるかを示しています。
2 待遇に関する説明義務
 パートタイム有期雇用労働法では、待遇の決定についての事業主の説明義務が定められています。
 雇入れ時には、賃金制度、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用、正社員転換推進措置などについて説明する必要があります。また、パート・有期雇用従業員から求めがあった場合、正社員との間の待遇差の内容・理由等を説明しなければなりません。
 「パート・有期雇用従業員だからこの待遇である。」という説明では説明義務を果たしたことにはなりません。「職務内容」「職務内容・配置の変更の範囲」等の観点から、正社員と比べて異なる点を説明し、待遇も異なることを説明する必要があるとされています。もっとも、パート・有期雇用従業員が納得するまで説明することが求められているものではありません。
 事業主は、パート・有期雇用従業員が待遇差の内容・理由の説明を求めたことを理由として解雇その他の不利益な取り扱いをしてはいけません(パートタイム有期雇用労働法14条3項)。

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