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最高裁判例にみる私道をめぐる近隣紛争

弁護士 岩出 誠(ロア・ユナイテッド法律事務所)
2000.07.25

「近所との紛争」の具体例として、最近、最高裁で示された私道をめぐる判例を紹介しておきます。

先ず、A氏の隣のB氏所有の隣家が、道路に接していない袋地上で、本来、建築基準法上、建築確認が下りず、建築行為自体が違法で、役所からも工事停止を命じられたにも拘らずこれを無視して強行して建築された状況の中で、BがAに対して、Aの土地を通じて公道に通じる下水管の敷設工事を求めた事件で、Bの請求を認めなった判例があります(最判平成5.9.24)。下水道法は、他人の土地を使用しなければ下水を公共下水道に流入させることが困難であるときは、他人の土地に排水設備を設置できる等と定めています。しかし、最高裁は、本件のBの請求は、「建物について(建築基準法)違反建築であることを解消させ...建物が今後も存続しうる事情を明らかにしない限り...権利の濫用である」としてBの請求を認めませんでした。つまり、そのような隣家の不当な要求は拒否して良いと言うことです。

もう一件は、建築基準法42条2項の規定による道路としての指定(いわゆる位置指定)を受け現実に開設されている道路に接して駐車場を営もうとする土地所有者B氏から、道路の敷地所有者A氏に対して、道路内にA氏がBの自動車の通行を妨げるため設置したポールの撤去請求が否定されたものです(最判平成12.1.27)。本件では、徒歩、二輪車の通行目的の通行地役権は認められていましたが、自動車の通行権が問題となりました。従来、「位置の指定を受け現実に開設されている道路を通行することについて日常生活上不可欠の利益を有する者は、右道路の通行をその敷地の所有者によって妨害され、又は妨害されるおそれがあるときは、敷地所有者が右通行を受忍することによって通行者の通行利益を上回る著しい損害を被るなどの特段の事情のない限り、敷地所有者に対して右妨害行為の排除及び将来の妨害行為の禁止を求める権利(人格権的権利)を有する」とされていました(最判平成9.12.28等)。ところが、この事件では、本件私道は、専ら徒歩又は二輪車による通行に供されてきた未舗装の道路で、Aの承諾を受けた請負業者が建築工事のため1年間本件私道を自動車で通行したことがあるほかには、自動車が通行したことはなく、Bは、その先代の者が死亡した昭和61年10月以降、その土地を利用していないのみならず、同土地を居住用としてではなく、単に賃貸駐車場として利用する目的で本件ポールの撤去を求めているにすぎないというのであるから、Bが「本件私道を自動車で通行することについて日常生活上不可欠の利益を有しているとはいえない。」とされました。つまり、営業目的の駐車場経営のためのような場合には、たとえ位置指定を受けた私道に対しても人格権に基づく自動車の通行権はなく、そのような隣家の請求を拒否しても良いということです。

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