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知り合いによる事実無根の悪口への対処

弁護士 岩出 誠(ロア・ユナイテッド法律事務所)
2000.08.25
 知り合いによる事実無根の悪口や噂話も、法的には、名誉毀損、プライバシーの侵害などとして、大きな問題となる場合があります。

 例えば、化粧品のセールスを始めた主婦が、近所の主婦B達に、「Aさんは盗みの疑いで警察に調べられた」「手癖が悪い」などの事実無根の悪口や噂話を、職場や知人に電話され、その結果、セールスの職場からの退職や転居をせざるを得なくなった事件で、裁判所は(仙台地判昭和59.8.24)、Bらの行為は、犯罪行為の糾弾などの公共の利益に適うものでもなく、陰口あるいは単なる茶飲み話しの範囲を超えた悪意ある誹謗中傷だとして、不法行為の成立を認め、BらにAに対する60万円の慰謝料の支払を命じました。

 なお、この事件では、損害賠償だけが認められていますが、このような事件で噂が広い範囲に広まっている場合などでは、被害者は、加害者に対して、謝罪広告を求めることもできます。但し、裁判所は、いわゆるマスメディアによる名誉・プライバシーの侵害の場合でも、謝罪広告には慎重な態度を示す傾向にありますし、実際にこれを求める場合も、広告費相当の賠償の請求として、広告費の見積もりを出させられたり、そのための手数料・印紙代も少なくはありません。

 このようなケースは刑事的にも、Aの名誉を毀損するもとして、名誉毀損罪に当たるものですし(刑法230条)、Aのセールスという営業行為を妨害するものとしての営業妨害罪に当たる可能性があります(刑法233条)。更に、もし、Bらが噂話をするだけでなく、根拠もなく「盗みの疑い」があるなどとして、A を警察に告訴したりしていれば、それは虚偽告訴罪に当たる可能性もあり(刑法172条)、最高10年の懲役刑になることも理論上はあり得ます。

 Aさんとして、このような被害にあったとき、もっとも簡単な対応策は、自分で書くか弁護士等に依頼して作成するかは別として、断固たる抗議の意思と、悪口等が止まらない場合には、Bらに対して、今まで述べてきた、民事的な損害賠償の請求や、刑事的な名誉毀損などでの告訴などの法的手続をとることの予告を付けた警告文を送ることでしょう。この場合、後で、警告の事実と警告文が相手に届いたことを証明できる、配達証明付き内容証明郵便を使うのが良いでしょう。これで、Bらの行為が止まらない場合には、正に、警告書で予告した、刑事告訴や、民事の損害賠償・謝罪請求や中傷行為等の差止めを求める訴訟を起こすことになります。緊急に差止めを求める必要がある場合には、早期に暫定的な決定を下すAの人格権に基づく中傷行為の中止を求める仮処分という手続もあります。

 実際には、Bらが悪口、噂を流した証明が難しい場合が多く、証人の確保や録音テープの利用などが必要となります。

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