法律Q&A

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社内結婚で夫婦が同一職場で働くことを禁じられたら

弁護士 岩出 誠(ロア・ユナイテッド法律事務所)
2000.03.24

昨年、男女共同参画社会基本法(基本法)の成立や男女雇用機会均等法(均等法)が強化される中でも、依然として、男女が社内結婚した場合に同一職場で働くことが禁じられ、いずれかが(多くの場合女性が)異動を迫られることがあるようだ。しかし、企業の流れとしては、前述の法律や裁判所の判例の影響もあり、夫婦の同一職場での就労を問題にしない方向に向かってはいるようだ。例えば、「こども未来」が昨年公表した1013社の例では、少なくともこの問題については、「ケースによって対応が異なる」が39.2%でトップで、「異動させない」が27%、「異動させる」は14.6%で少数派だ。男女別の調査によれば、40歳未満の女性においては、実に約70%の方が、「問題なし」としている。

この問題を法的観点から再検討してみると、女性が、婚姻や出産により、職場において、不利益な扱いを受けてはならないということは、労基法の産休規定等、育児介護休業法、女性の人格権・基本法が目指すリプロダクティヴ・ライト(性と生殖の権利)などとして、明確に確立された権利といえる。均等法6条も配置・昇進差別の禁止義務を明確に禁止規定として男女差別への規制を強化してる。判例も、いわゆるセクハラ判例において、企業に対して、企業に良好な職場環境調整義務を課している(静岡地沼津支判平成11・2・26等)。この義務は単にセクハラ防止措置にとどまることなく、男女共同参画社会の実現を目指した、職場慣行の見直しや改善義務をも含んでいるものと解される。かかる観点からば、未だ明確な判例は出ていないが、上下関係を含む夫婦が同一職場にいること自体は、本来、情実人事等の弊害の発生なき限り、休憩時、退社後等業務を離れた後、直ちに、「男女が、相互の協力...の下に、子の養育」(基本法6条)に即応できると言う意味では、むしろ基本法の要請に沿った就労形態とさえ言える。

これに対し、結婚理由のみによる同一職場からの異動は、当該職場におけるキャリア形成を望んでいる男女のモラールを低下させ結婚の意欲を阻害する結果を招き基本法の趣旨に反するは勿論、とりわけ異動が女性に偏る場合は均等法違反の問題を提起し、少なくとも前述の企業の職場環境調整義務への抵触や、結婚への対応という意味で、性的な言動により女性労働者の就業環境が害される、いわゆる環境型のセクハラ(均等法第21条)等の問題を提起するものと考えられる。従って、このような異動に応じることは法的には義務でないと解さざるを得ず、企業の対応の改善が期待される。

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