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従業員の募集または採用にあたってしてはならない質問は?

弁護士 石居 茜(ロア・ユナイテッド法律事務所)

従業員の募集または採用にあたってしてはならない質問は?

従業員の募集または採用にあたって、してはならない質問はありますか?

一定の事項について女性に対してのみ質問することや(直接差別)、合理的な理由もなく身長又は体重が一定以上であることを要件として(間接差別)身長・体重・体力等の質問をすることは、男女雇用機会均等法の禁止事項に抵触する可能性があります。

1.直接差別,間接差別の禁止
 男女雇用機会均等法では、

①募集・採用の対象から男女のいずれかを排除すること、

②募集・採用の条件を男女で異なるものとすること、

③採用選考において、能力・資質の有無等を判断する方法や基準について男女で異なる取り扱いをすること、

④募集・採用に当たって男女のいずれかを優先すること、

⑤求人の内容の説明等情報の提供について、男女で異なる取り扱いをすること
が禁止されています(直接差別)。

 また、業務上の必要性など合理的な理由がないのに、
①募集・採用に当たって、労働者の身長、体重または体力を要件とすること、
②労働者の募集・採用・昇進・職種の変更に当たって、転居を伴う転勤に応じることができること
を要件とすることは、間接差別として禁止されています(均等法7条)。

2.直接差別,間接差別の具体例
 厚生労働省の指針によれば、募集又は採用に当たって、女性についてのみ、未婚者であること、子を有していないこと、自宅から通勤すること等を条件とし、又はこれらの条件を満たす者を優先することは、直接差別②に当たります。
 また、採用面接に際して、結婚の予定の有無、子供が生まれた場合の継続就労の希望の有無等の一定の事項について女性に対してのみ質問することは、直接差別③に当たります。
 面接や会社説明会などで、「男性又は女性の採用は少ない」「女性はすぐに辞める」「これは男性がやる仕事である」等の発言することも、直接差別の②や④に抵触することがあります。

 平成26年7月1日施行の男女雇用機会均等法の施行規則の改正に伴い、厚労省は性差別指針を改正し、性別を理由とする差別に該当するものとして、結婚していることを理由に職種の変更や定年の定めについて男女で異なる取り扱いをしている事例を追加しています。
 間接差別の①の例としては、単なる受付・出入者のチェックのみを行う等防犯を本来の目的としていない警備員の職務について、身長又は体重が一定以上であることを要件とすることがあげられています。
 よって、業務に必要もないのに、身長・体重・体力等の質問をすることは避けたほうがよいでしょう。
 間接差別②の転居要件については、これまで、総合職について、募集・採用について合理的理由がないのに転居要件をつけることを間接差別として禁止していましたが、平成26年7月1日施行の男女雇用機会均等法の施行規則の改正で、総合職の限定が外れ、差別禁止の場面も、募集、採用のみならず、昇進、職種の変更が追加されました。

 なお、間接差別として禁じているのは、「雇用管理上特に必要である場合その他の合理的理由がある場合」でないのに、転居を伴う転勤に応じることを要件とすることです。
 つまり、厚労省の指針に記載のあるように、禁じられているのは、例えば、「広域にわたり展開する支店、支社等がなく、かつ、支店、支社等を広域にわたり展開する計画等もない、または支店、支社等はあるが転居を伴う転勤の実態はほとんどないのに、採用基準に、全国転勤に応じられる者、という基準を設けて選考を行うこと」です。全国転勤が予定されており、その実態もある会社であれば、要件として明示しても構いません。
「コース別雇用管理の留意点」という厚労省のリーフレットでは、合理的理由があって「転居を伴う転勤を募集・採用の要件とする場合には、転勤の期間、場所、頻度、実績等の情報提供を行いましょう」とされています。

予防策

採用面接を担当する社員に対しては,厚労省のリーフレットなどを参考に,男女差別となり得る発言や具体例をまとめた資料などを作成し,研修を行うなどして注意喚起を行い、不用意な発言が出ないように予防することが大切です。

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