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従業員が突然逮捕されてしまったら?

弁護士 岩野 高明 2017年4月:掲載

従業員が突然逮捕されてしまったら?

ある従業員が無断欠勤を始めたところ、ほどなく警察に逮捕・勾留されたことが判明しました。
このような際、会社としてはどのように対処したらよいでしょうか。

弁護人からの聴取や本人との接見を通じて事実関係を確認したうえで、刑事手続の見通しやこれに要する期間を見極めることが肝要です。
解雇や懲戒処分をする場合には、入念な検討が必要です。

解説
 従業員が無断欠勤を始めた後で、その従業員の弁護人だという弁護士から連絡が入ることがあります。弁護人は、従業員が警察に逮捕・勾留されたことを告げます。

 このような場合、会社としては、まずは弁護人から以下の事項を聞き出すべきです。
1、事件の概要(逮捕日時・場所、被疑事実、罪名、被疑事実に対する本人認否等)
2、勾留場所(警察署が多い)
3、本人の会社に対する意向(顧客対応等、業務に関するものなど)

 本人の意向で、弁護人が回答を拒否する場合もありますが、弁護人から連絡してきた以上は、これらの事項を教えてくれる場合が多いでしょう。勾留に接見禁止決定が付いていなければ、本人が拒否しない限り、会社の担当者が勾留場所へ赴き、本人に接見することもできます。これが可能である場合には、本人と面談して事実関係や今後の意向を確認すべきでしょう。
 被疑事実が判明した段階で、会社は従業員に対する処分を検討することになります。この場合、過去の裁判例、本人の認否の状況、有罪・無罪の見通し等を勘案しながら、処分の適否及びその種類等を検討していくことになります。
 ここで、推定無罪の原則からすれば、判決確定前の処分決定には慎重であるべきですし、仮に本人が容疑を否認している場合には、なおさらそうだといえます。判決の確定までは処分を保留するというのが、本来のあるべき姿です。

 もっとも、通常の起訴(公判請求)であれば、一審判決が出るまでに少なくとも数か月程度はかかりますし、控訴がされれば、判決確定はさらに先延ばしになります。勾留中に起訴されずに釈放され、いわゆる在宅事件となった場合には、起訴・不起訴の処分決定だけで、数か月以上も待たされてしまう場合もあります。

 このような場合に、会社として処分の結論を急ぐ必要から、有罪判決を見越して、起訴や判決を待たずに解雇等の処分をするというような運用も実際にはされているようです。また、より安全な方法として、処分をしない代わりに自主的な退職を促し、合意によって労働契約を終了させる場合もあります。

 ところで、この従業員の逮捕後の扱いについても、悩ましい問題があります。無断欠勤期間は、欠勤ないし有給休暇扱いをする場合が多いでしょう。起訴休職など刑事事件に関する休職制度がある場合には、欠勤の理由が判明した段階で、これを適用することもあります。

 ただし、逮捕後の様々な状況に対応し得るような規定にしておかないと、無給での休職扱いとすることができないこともあります。
 たとえば、釈放されて在宅事件となり、いつまでも起訴・不起訴の結論が出ない
という場合には、休職扱いにできないのであれば、刑事事件の結論が出るまでは、有給での自宅待機を命じざるを得ないという不合理な結果にもなってしまいます。

 このような事態を避けるためには、規程の該当箇所を点検しておく必要があります。

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