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有期雇用のパートを契約期間満了後に派遣社員として受け入れ、一年後にあらためてパートとして採用する場合、継続雇用とみなされるか?

弁護士 村林 俊行(ロア・ユナイテッド法律事務所)
2003.09.05

当社では、1年契約のパートタイマーを雇用していますが、有期契約でも契約更新を繰り返すと、期間の定めのない雇用とみなされるようになると聞きました。そこで、何回か契約更新した後は雇い止めとし、本人の意向を確認したうえで人材派遣会社への就職をあっ旋して、派遣会社で採用されれば優先的に自社に派遣してもらう-という方法を考えていますさらに、1年間の派遣期間が終了した時点であらためて自社のパートタイマーとして雇い入れ、何回か契約更新をした後はまた派遣会社へ・・・・・と繰り返せば、実質的には当社で同じ仕事を継続していても、継続雇用とはみなされないはずです。こような取り扱いをしても法的に問題ないでしょうか?

当該パートに対する関係においては継続雇用とみなされる可能性がある。

1 契約期間の定めのある雇用契約と期間満了
 契約期間の定めのある雇用契約は、民法の原則からするならば雇用期間が満了すれば終了するはずです。

 しかし、契約期間満了により雇用契約が当然に終了しない場合もあります。例えば、[1]民法上の黙示の更新(民法第629条1項)により契約が更新される場合がありますし、[2]判例上、反復更新後の雇止め等については解雇権濫用の法理を類推適用する等し、契約打切りを制限している場合もあります。以下、[2]について詳述します。

2 雇止めに関する裁判例
 裁判例は、パートタイム労働者の雇止めに関しては、基本的には常用的な臨時労働者に対する最高裁の東芝柳町工場事件判決(最一小判昭49.7.22・民集 28-5-927)の考え方を適用していると見てよいでしょう。即ち、裁判例は、ある程度の継続が期待され反復更新された雇用関係の雇止めには、解雇法理(社会通念上是認できる合理的理由がないと解雇権の濫用となり解雇が無効となるとする原則)が類進適用されるとし、契約打切りを有効とするためには合理的な理由が必要であるとして、期間満了という理由だけで直ちに契約打切りを認めない場合もあると判示しています(岩倉自動車教習所事件・京都地判平9・7・ 16  労判731号60頁、情報技術開発事件・大阪地平8・1・29 労判689号21頁等)。これは、雇用の打切りは労働者の生活を根底から脅かすものであり、パートに対しても使用者の恣意から法的に保護する必要があるからに他なりません。

 そして、具体的には、当該雇用の臨時性・常用性、更新の回数、雇用の通算期間、契約期間管理の状況、雇用継続の期待を持たせる言動・制度の有無等を総合考慮すれば労働者が継続雇用を期待することが首肯できるような状況においては解雇権濫用の法理を類推適用して、雇止め事案に則した合理的理由が必要とされているようです(菅野和夫「労働法」5版補正2版185以下)。

3 本設問について
 この点貴社においては、有期雇用のパートを契約期間満了後に派遣社員として受け入れ、1年後に改めてパートとして雇用契約を締結していることから、実質的には雇用の期間もある程度の期間継続することを想定しているし、特に当該パートに対して雇用継続の期待をもたらす言動もしている場合等には、当該パートについて継続雇用の期待を持つことが首肯できるような状況があるものといえるので、当該パートに対する関係においては継続雇用とみなされる可能性があるものといえます。従って、会社が当該パートとの雇用契約を打ち切るためには、解雇権濫用の法理が類推適用される可能性があるので、単に期間満了しただけでは足りず、雇止めを正当化するような合理的理由が必要となるといい得るでしょう。

 なお、派遣先である会社は、当該派遣先の事業所その他派遣就業の場所ごとの同一の業務について派遣元事業主から継続して1年間労働者派遣の労務の提供を受けた場合において、引き続き当該同一の業務に労働者を従事させるため、当該1年間が経過した日以後労働者を雇い入れようとするときは、一定の要件を満たす当該同一の業務に継続して1年間従事した派遣労働者を遅滞なく雇い入れる努力義務を負うこととなります(労働者派遣法第40条の3)。従って、派遣先の会社が当該同一の業務に継続して1年間従事した派遣労働者につき優先的に雇い入れなかった場合には、労働者派遣法40条の3に規定する派遣労働者の雇用に関する努力義務に違反することとなり得ます。

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