法律Q&A

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2ヶ月前に春闘要求したもののなんら経営側の回答がない場合、不当労働行為にあたるか?

弁護士 村林 俊行(ロア・ユナイテッド法律事務所)
2003.09.03

当労組は3月初旬に、賃上げをはじめとした労働条件引き上げに関する要求を経営側に提出しましたが、回答指定日(4月25日)を過ぎ2ヶ月を経ようとしている現在も、まったく回答がありません。経営側の担当者には回答の要請をしていますが、なんら対応しようとの動きがうかがえず、困り果てています。このようなケースは、不当労働行為と考えてよいでしょうか。

不当労働行為に該当します。

1 不当労働行為の概念
 労働組合法は、憲法28条で保障される団結権等の保障を具体化すべく、労働者や労働組合に対する使用者の一定の行使を禁止した上(労組法7条)、労働委員会による特別の救済手続を定めています。そして、これら労組法の禁止規範とその違反の救済手続(労組法27条、28条、32条)とを合わせて不当労働行為救済制度といいます。

 不当労働行為には、基本的で一般的な類型としては、不利益取扱(労組法7条1号)、団体交渉拒否(労組法7条2号)、支配介入(労組法7条3号)の3類型があります。

2 不当労働行為としての団体交渉拒否(労組法7条2号)
 使用者が雇用する労働者の代表者と団体交渉することを正当な理由なく拒否することは、不当労働行為となります(労組法7条2号)。具体的には、当初より団体交渉を拒否する場合だけではなく、途中から正当な理由なく拒否することや形式上は団体交渉に応じながら不誠実な態度をとることも該当します。

 問題は、団体交渉拒否が不当労働行為とはならない「正当な理由」とは具体的にはどのような場合を指すかですが、例えば、使用者でないこと、使用者側又は労働者側に体制が整っていないのに統一交渉、共同交渉、集団交渉等が要求されたこと、単位組合の団体交渉権と上部団体のそれとの調整がなされていないために二重交渉のおそれがあること、交渉担当者に交渉権限がないこと、義務的団交事項ではない事項についての交渉要求であること等が考えられます。近時の判例においても、利益代表者の参加を許す労働組合も労組法7条2号の「労働者の代表者」に該当することを理由として、仮に補助参加人組合に利益代表者が参加していたとしても、また参加していないことを使用者に明らかにしないとしても、そのこと自体は団体交渉拒否の正当な理由とならないと判示しています(中労委(セメダイン)事件・東京地判平11・6・9 労判763号12頁、東京高判平12・2・29  労判807号7頁、最決平13・6・14 労判807号5頁)。

 この点貴社においては、労働組合より3月初旬に春闘要求をしたにもかかわらず、回答指定日を過ぎ2ヶ月が経とうとしているにもかかわらず使用者側より全く回答がないということですから、使用者側は労働組合に対して長期間団体交渉拒否の理由を何ら開示することなく団体交渉を拒否したものといえます。従って、このような使用者側の団体交渉拒否は、正当な理由のない団体交渉拒否として不当労働行為に該当するものと考えられます。

3 団体交渉拒否に対する救済
 団体交渉拒否の場合の救済方法としては、第1に、労働委員会による救済として[1]不当労働行為の救済申立(労組法27条)、[2]あっせんの申請(労調法12条)を行うことができます。

 第2に、裁判所による救済として[1]団交応諾仮処分(但し、昭和50年以降は申請を棄却する裁判例が増加しています)、[2]団体交渉を求める法的地位の確認請求(国鉄事件・東京高判昭62・1・27 労民38巻1号1頁、最判平3・4・23 労判589号6頁)、[3]不法行為に基づく損害賠償請求(民法709条)をなすことができます。

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