法律Q&A

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振替休日を再度振り替えることは可能か

弁護士 木原 康雄(ロア・ユナイテッド法律事務所)
2005.02.10

当社では、休日に出勤する場合、事前の振り替えを原則としています。また、労働組合との時間外協定により、休日出勤は、所定休日も法定休日も区別なく割増賃金を支払う取扱としています。そこで、お尋ねですが、いったん振り替えた日に出勤せざるを得なくなった場合、再度の振り替えを行う取り扱いは妥当でしょうか。また、振り替えた日に出勤した場合、割増賃金の支払いは必要でしょうか。(栃木県 K社)

4週4日の休日が確保されていれば再度の振り替えも可能ですが、慎重な配慮が必要です。また、休日労働としての割増賃金の支払いは不要です。

1 休日振り替えの可否
 本件のように、就業規則上休日と定められている特定の日を指定した上で、これを労働日に変更し、代わりにその前後の労働日たる特定の日を休日に変更することは、突発的な受注への対応など業務上の必要からしばしば行われています。

 このような事前の休日振り替えは、労働者との間の労働契約で定められた休日を他の日に変更することになりますから、就業規則や労働協約などにより、業務上必要があるときは休日振り替えをすることができること及びその事由・方法が規定されているか、または、労働者の個別的同意が必要になります。

 休日の事前振り替えが行われると、所定の休日は労働日となり、振り替えられた勤務日は休日となります。したがって、振り替えにより勤務日となった日(当初の所定休日)に勤務しても休日労働とはなりませんが、振り替えにより休日となった日(本来労働日であった日)に勤務すれば休日労働となります。

 ただし、労働基準法上4週4日の休日を確保しなければならないとされていますから(35条2項)、振り替え休日の指定にあたっては、この点に留意して調整する必要があります。

 なお、本問のような事前の休日振り替えではなく、事後の振り替え(休日に労働させた後に代休日を与える場合)についても、事前の振り替えと同様、就業規則・労働協約等の根拠規定か労働者の個別的同意が必要ですが、単に休日に労働させただけで、休日自体が変更されたわけではありませんから、労働基準法上、代休日を与えることは義務付けられておらず、また、代休日を与える場合も4週4日の制限は適用されません。

 また、法定休日ではなく法定外休日に労働させる場合には、就業規則等で規定されていない限り振り替え休日を与える必要はなく、4週4日の制限も適用されません。

2 再度の振り替えの可否
 では、一度振り替えられ休日となった日に、また勤務の必要が生じた場合に、再度休日振り替えを行うことができるのでしょうか。

 この点に関しては、労働基準法上ルールが明確に定められているわけではありません。
 したがって、4週4日の休日が確保されていれば、再度の振り替えもただちに違法となるわけではありません。

 もっとも、労働者が労働から解放される日の確保という休日の特定の趣旨からすれば、安易な再振り替えは避けなければなりません。

 当初の振り替えの際には予想できなかった真にやむを得ない臨時的な業務の必要性が新たに生じた場合であれば、再度の休日振り替えも許されるものと考えられます。しかし、このような慎重な配慮を欠いた振り替えは、休日の確保の要請に反するものとして、制度の濫用との評価を受けかねません。

 そこで、通常の休日振り替えに関しては労働者の個別的同意を要しないという振り替え制度である場合であっても、再度の振り替えについては労働者の個別的同意が得られたことを前提とするなどの配慮が必要と考えられます。

3 割増賃金の支払いの要否
 前記のとおり、事前の休日振り替えがなされると、所定の休日が労働日となり、振り替えられた勤務日は休日となります。したがって、振り替えにより勤務日となった日(当初の所定休日)に勤務しても休日労働とはなりませんので、休日労働としての割増賃金を支払う必要はありません。

 なお、事後の振り替え(代休)においては、前記のとおり休日自体を変更したわけではなく、あくまで休日に労働しただけですから、休日労働としての割増賃金を支払う必要があります。

 また、事前の振り替えの場合でも、本来の休日を労働日として労働させたことにより、1週の労働時間が40時間を超えた場合は、超えた部分は時間外労働となりますから、時間外労働としての割増賃金の支払いが必要になります。

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