法律Q&A

分類:

代休を半日単位で付与してもよいか

弁護士 岩出 誠(ロア・ユナイテッド法律事務所)
2001.06.07

先日の休日出勤は午前中(8時から12時)で済み、実働4時間でした。後日代休を付与する旨を社員に通知しましたが、この場合、休日出勤が午前中4時間で終わったのですから、4時間分の休日割増賃金を支払い、代休は1日ではなく半日にすることで問題ないでしょうか。また、休日出勤が1日の場合でも、仕事の都合を考慮して半日単位に分けて付与することはできないでしょうか。

休日労働は4時間ですから、労働基準法上支払うべき賃金としては4時間分の休日割増賃金(1.35×4時間×基準賃金の時間単価)で足ります。次に、代休に関しては、労働基準法上の義務ではないため各社の定めによることになりますが、少なくとも労働基準法上は、1日分を分ける場合を含めて、半日単位で与えることは差し支えありません。なお、給与規定で代休付与に相当する賃金控除が明確に規定されている場合には、それに従った賃金の減額支給もありえます。更に、その休日労働がいわゆる法定外休日の場合には、割増賃金の問題は各社の定め・慣行等によることになります。

1 労基法の求める週休の特定
 労基法35条1項の休日につき、法律上は、事前の特定が必要とされていませんが、行政指導ではできるだけ特定するよう指導され(昭和23.9.13基発17)、多くの会社では休日が特定されているでしょう。
2 休日の振替と代休
 しかし、会社は突発的な受注への対処など一時的な業務上の必要性から、労働者に対し、就業規則上休日と定められた特定の日を労働日に変更し、代わりにその前後の特定の労働日を休日に変更する(このような意味で休日を他の日に「振替」える)措置をとることがあります。このような広い意味での休日振替えにも[1]「事前の振替え」(本来の「休日振替え」)と、[2]「事後の振替え」(本来の「代休」)とがあり、これらは労基法上の取扱いが大いに異なります(菅野和夫「労働法」第5版補正版253以下参照)。
3 事前の振替えと振替休日
 事前の振替えは、労働契約上特定されている休日を他の日(振替休日)に変更することなので、会社の休日振替命令が、労働協約や就業規則などの労働契約上の根拠が必要で、それらの規定で、定められた休日を他の日に振替えることができること、そしてその理由・方法を定める規定があり、それに従って振替が行われることが必要です。このような規定がない場合には、休日振替えは、労働者の個別の同意が必要となります。又、事前の休日振替えは、労基法の1週1日または4週4日(変形週休制)の休日の要件をみたさなければならないので、会社は振替休日の日をこの要件に反しないように配置し、指定しなければなりません。そしてこの要件をみたす限り、事前の休日振替えにより、本来の休日の労働は労働日の労働となり、それについては労基法上の割増賃金(労基法37条)の支払が要りません(三菱重工業事件・横浜地判昭和55.3.28労判339-20、昭和 63.3.14基発150 但し、 25%の時間外割増が生ずることはあります)。
4 事後の振替えと代休
 次に一般に代休と言われる「事後的な休日振替」についても、事前の休日振替と同様に労働契約上の根拠が必要で、労働協約または就業規則などの根拠規定に従って行うか、又は労働者の個別的同意が必要です。しかし、この事後の振替えの場合には、就業規則上定められた休日が休日のまま労働日として使用されたことになり、それが労基法上の法定休日であった場合には、同法上の休日労働の要件をみたすことが必要となります。つまり、会社は、三六協定による休日労働の規定(36条)に基くことが必要で、その休日労働に対しては割増賃金(同37条)を支払わなければなりません。しかし、代休日を与えることは労基法上要求されていないため代休日を与える場合には週1日や4週4休の週休制の要件(同35条)は関係がありませんし、半日単位の付与も制限されていません。

 ここで注意が要るのは、事後振替の代休の場合は、これを与えても、当然には、割増分のみ支払えば良いということにはならず、1.35倍の割増賃金の支払義務を免れないということです。代休を与えた場合に35%の割増分のみで済ますためには代休取得の場合に関する賃金の精算規定を置く必要があります。例えば、「法定休日労働をして代休を取得した場合には35%の割増分のみを支払うものとする」などの定めです(労働省労働基準局編「所定外労働削減の手引き」 85頁以下によれば割増賃金を時間換算した上での代休付与をも認めているようです)。

5 法定外休日の振替について
 なお、以上述べてきたのは労基法上の法定休日の振替についてであり、会社が労基法の基準を上回って与えているいわゆる法定外休日については、労基法上の制限はなく、三六協定の締結、割増賃金の支払や、事前の振替の場合の4週間以内の振替などの必要はありません。又、振替の代休を与えるかどうかも労使で自由に決めることができます。しかし、法定外休日を振替えて労働させることがある旨の就業規則などの労働契約上の根拠が必要であることは法定休日の場合と同じです。
結論
 以上の次第で設問については回答の通りとなります。

関連タグ

身近にあるさまざまな問題を法令と判例・裁判例に基づいてをQ&A形式でわかりやすく配信!

キーワードで探す
クイック検索
カテゴリーで探す
新規ご相談予約専用ダイヤル
0120-68-3118
ご相談予約 メルマガ登録はこちら