法律Q&A

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契約書作成の意義と必要性

(1)契約書作成の意味
 我国の民法は、契約書の作成を契約の成立あるいは有効要件とはしておらず、契約書は民法上では作成が義務付けられてはいませんが、契約当事者が当初の契約内容をすべて記憶しているわけではありませんし、景気の変動が大きく競争の激しい現代社会では、口約束だけの取引では危険性が大きいことは明らかです。

 これを債権回収という観点から言えば、相手方からの支払いが履行日までにないか分割払いの支払いが滞ったりした場合、債権者としてそのような場合に備えて契約書をあらかじめ作成しておけば、他の債権者に先んじていち早く債権回収を図ることが可能となるのです。

(2)契約書に盛り込むべき条項
 債権回収を簡易迅速に行うようにする為には、次のような条項を契約書に盛り込むべく債務者と交渉することが肝要です。まず、最も一般的で最低限度盛り込むべきものが、期限の利益喪失条項です。これは、分割払において債務者の支払いが滞ったときに債務者が有していた分割払いの利益が当然に喪失され債務者は残金を一括で支払う義務が生じるというもので、1回でも支払いを怠れば期限の利益を喪失するという形が債権者にとっては1番有利ということになります(実務上は2回程度が一般的です)。次に、債務者の担保(或いは増担保)提供義務があげられ、債権者は、当該義務を債務者に履行させることで担保提供された担保物を換価して債権回収できることとなります。更に、公正証書作成義務が挙げられ、債権者は、同外義務を債務者に履行させることにより債務名義をいち早く取得して債務者の一般財産へいつでも強制執行できる状態になります。最後に、違約罰条項があり、債務者に一定の違約事由が発生することにより違約金支払い義務を生じさせることが可能となります。
(3)その他の一般的注意事項
 特に重要なのは契約当事者の表示です。個人の場合は、その人を特定できる表示である限り戸籍上の氏名でなく通称・芸名・ペンネーム等であっても構いませんが、会社の場合だと[1]商号[2]代表資格[3]代表者の三点表示があってはじめて、会社としての契約書に署名或いは記名捺印したことになります。なお、署名とは、自分自身で自らの氏名を手書きすることで、記名とは、氏名を彫ったゴム印やワープロ、印刷などで氏名を記すことで、署名の場合と異なり必ず捺印が伴わないと効力が生じません。使用する印鑑については、実印や登録印でなければ効力を生じないというわけではなく、本人の意思で押印したと認められるものであればよく、紛争の予防のためには、認印での捺印をする時にはできるだけ自署を求め、重要な取引の場合などには、相手方に実印又は登録印により捺印してもらい印鑑証明書を添付してもらうようにしましょう。

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