- 債権届出用紙が届いた場合
- (1)取引先が倒産し、破産宣告通知書と債権届出用紙が裁判所から送付されてきた場合、届出用紙に所定の事項を記入し、早急に裁判所へ送付することが大切です。その際、以下の事項を届け出なければなりません(破産法228条)。
- 債権の額
- 債権の発生原因(例えば契約の種類と日時)
- 優先債権の有無(優先債権とは賃金債権(給料、退職金)が典型的なものです)
- 劣後債権の有無(劣後債権とは破産宣告後の利息や破産宣告後の不履行による遅延損害金をいいます)
- 別除権(抵当権や質権などをいいます。破産手続中でも別個に抵当権などは実行できるのでこの名があります。)の有無。別除権がある場合には、別除権から弁済を受けることのできない額を届け出ます。
- 破産者に対して訴訟を提起している者はその裁判の係属している裁判所や、裁判の事件番号。
(2)届出書の提出する際にはその債権を証明する書類(契約書、請求書、約束手形、納品書)の写しを添付することも忘れてはなりません。これらの裏付けがない債権は管財人が債権として認定してくれないからです。
(3)さらに、届出書の提出期限内に提出することが大切です。
- 破産の申立があった場合の債権回収方法
- (1)別除権を有している場合
[1]債権者が抵当権等の担保権を持っているか、この会社との取引の内容が動産の売買で、債権も売買代金請求権であれば、動産売買の先取特権という別除権を持っていますから、抵当権であれば競売の申立を、動産売買の先取特権ならば売り渡した物の差押、競売をすることができます。もっとも、納入した品物がいまだこの破産申立をした会社内にあるのならば、債務不履行を理由とする解をして品物を引き上げてくるのが最も簡便でしょう。なお、このような解除は、破産申立をした会社が破産宣告を受け、破産管財人が選任されますと、若干手続が異なります(破産法59条参照)。ですから、契約の解除をするのは、破産の申立があったらすぐに行い、破産宣告前には相手方に解除の通知が到達しているようにする必要があります。
上記ような権利があれば、破産の申立に影響されることなく債権回収することができます。また、破産申立した会社に対して債務を負担している場合には、相殺によって回収を図ることが出来ることは前述したとおりです。
(2)隠し財産があることが判明した場合
債権者としては破産管財人に対して隠し財産の存在について報告し、否認権が行使できるようその情報を提供するようにします。特に隠し財産が多いとか、会社の財産が代表者個人に流用されているなど、破産させるのが不相当と思われる事案については、管財人にその事実を報告するだけではなく、刑事告訴の手続も採るべきでしょう。
(税のしるべ 平成14年3月11日号掲載)