法律Q&A

分類:

任意の債権確保ないし回収方法について(2)

弁護士 筒井 剛(ロア・ユナイテッド法律事務所)
(1) 取引先に対する債務と相殺する方法
 御社が取引先に対して、債権を有すると同時に、取引先も御社に対して債権を有していた場合、御社も取引先も、債権が弁済期にあるときは、その一方的な意思表示によって、双方の債務を対等額にて消滅させることができ、このような意思表示を相殺といいます。相殺は、御社と取引先のように、金銭債権という同種の対立する債権を有する者の間では、それぞれが別々に債権の弁済をするのは時間と費用の無駄であって、意思表示だけで弁済をなしたのと同一の効果をあげたほうが実際上便宜であること、また、相殺を認めないと、仮に取引先が破産した場合、御社は自己の債務を全額請求されるのに対し、御社の債権は破産債権として一部の配当を受けるに過ぎなくなってしまい、公平が害されるということから認められている制度です。
(2) 抵当権の任意処分による方法
 本来抵当権には競売の申立て権能があり、抵当権を実行する場合は、通常は不動産の競売手続をとるのですが、そのような強制的な形をとるのではなく、競売の申立権能を背景として抵当不動産の所有者に任意に不動産を処分してもらいその処分代金から抵当権者が抵当債権を回収しそれと同時に抵当権を解除するということを「抵当権の任意処分」といいます。
(3) 債権譲渡による方法
 取引先が売掛金債権を有していた場合、その売掛債権から回収を図るには、債権差押命令を申立ててその売掛金債権を差押えるという方法もありますが、この方法によるには取引先に対する債務名義が必要です。しかし、取引先に対する債務名義を前もって取得していることは稀でしょう。

 そこで、取引先の同意がとれれば、取引先から売掛金債権の譲渡を受け、その売掛先から直接支払を受けて自己の債権を回収するという債権譲渡の方法によるのが迅速かつ簡便です。債権譲渡とは、法律的には、債権の同一性を失わせることなく、譲渡人から譲受人に譲渡契約によって移転させることで、このため、譲受人は譲渡人が持っていたのと全く同じ債権を取得することになります。そこで、取引先の売掛先に信用と財産があり、債権の弁済を受けることができる状態になるのであれば、債権譲渡による方法は自己の債権回収のために有効な手段となるのです。

(4)代物弁済による方法
 債務者が本来有している債務の内容とは異なる他の物を給付することによって、債務を消滅させることを代物弁済といいます(民法482条)。債務者にもはや債務を履行するための金銭がなく、物しかないようなときに、考えられる債権の最終的な回収方法です。

関連タグ

身近にあるさまざまな問題を法令と判例・裁判例に基づいてをQ&A形式でわかりやすく配信!

キーワードで探す
クイック検索
カテゴリーで探す
新規ご相談・予約専用ダイヤル
0120-68-3118
ご相談予約 メルマガ登録はこちら