- (1)注目を浴びるインターンシップ
- インターンシップ(IS)が注目されています。ISは、就労体験などとも訳されることがありますが、欧米で広く教育機関に取り入れられ実績を上げている制度で、学生が実務経験を積み、職業意識を高めるための企業内研修計画のことです。多くは、夏休みなどの長期休暇を利用して、ISを受け入れる企業に、商工会議所などの紹介で、学生が自発的に申し込んで行われますが、大学の正規の科目に組み込まれて単位を取得できる場合もあります。我国でも、平成12年6 月付け「ホワイトカラーをめぐる採用戦略の多様化に関する調査研究報告書」によれば、平成11年度には調査企業の22.1%で「インターンシップ制度」を導入し、特に大企業では4割がインターンシップ制度を導入しています。
ISは、学生にはビジネスの実地体験を通じ手就職先を探す良い機会を、企業には学生の能力を試し、その中から優秀な学生を採用する絶好の機会を提供することになります。更に、ISの普及の背景には、企業のニーズと学生が抱く企業イメージとの落差などのミスマッチなどによる若者の離職率・失業率が依然として高く、いわゆるフリーターの増大などが社会問題化し、ISがこれらを防止する決め手として期待されている面もあります。
- (2)ISは「労働者」か?
- ISでの研修活動については、小額の賃金が研修手当等の名目で支払われることもありますが、無給である場合も少なくありません。そこで問題となるのが、 ISでの研修活動中の事故への対応などですが、更に、最近、安価な労働力として使われる問題も指摘されています(平成14.4.26付読売新聞夕刊記事参照)。
ISが労働者か否かによって、後述の労災保険の適用があるかどうかなどが変わってきますが、これらの点は、後述する、「入社前研修中の事故で負傷したときはどうなるか?」で詳しく触れることにします(P6-8参照)。